出典:EPGの番組情報
プロフェッショナル「伝統を紡ぐ、革新を織る~織物職人・金谷博~」[解][字]
世界の有名デザイナーやハイブランドから頼りにされる織物職人が京都にいる。生地でありながら立体的で様々(さまざま)に表情を変える革新の一枚。織物の魔術師が紡ぐ未来
番組内容
千二百年の織物の歴史をもつ古都、京都。世界の名だたる有名デザイナーから指名を受け、話題の生地を生み出し続ける織物職人がいる。金谷博(68)。生地でありながら立体的で、さまざまに表情を変える織物は、最高級のホテルや車の内装、さらに東京オリンピックのステージ衣装にも用いられ、今、世界を席けんする。2021年、金谷は自身も初めてという難題に挑んだ。68歳の今もなお進化を求める理由。そして生まれた水の織物
出演者
【出演】織物職人…金谷博,【語り】橋本さとし,貫地谷しほりジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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- 完成
- 作業
- 修正
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
そしてまた、きちんと
ルールを守って
水揚げする漁師が
生き残っていけるような
そういう水産業に
変わっていけるかなと思います。
その男が生み出す生地は
今 世界を席けんする。
ハイブランドの装飾や
高級車の内装。
そして 東京オリンピックのステージ衣装。
その魔術師は 意外にも糸の扱いが苦手。
500年以上の歴史を持つ
京都 西陣織。
金谷は それを進化させ
織物でありながら立体的で
多彩な表情を持つ生地を作り出す。
500年の その先へ。
織物の魔術師が紡ぐもの。
ハハハハ。
撮影初日。
織物職人 金谷 博は
白衣で現れた。
生地に汚れが付かないよう
現場では この格好で
過ごすことが多いという。
ハハハ。
ご無沙汰してま~す。
こんにちは。
出社すると すぐにリモートで
新たな依頼の打ち合わせが始まった。
依頼主は
自身のファッションブランドを
海外でも展開する世界的なデザイナー。
10年前に出会い
これまでもパリコレなどで発表する
新作の生地を依頼されてきた。
妻でもあり
グラミー賞を受賞した…
彼女が演奏する際に 身に着ける
衣装の生地を作ってほしいという。
(金谷)なるほど。
演奏する上原の気持ちを鼓舞し
かつ 和のルーツを宿す赤い生地。
いや~ ありがとうございます。
そう言ってもらえると
ほんとに うれしいです。
(三原)じゃあ よろしくお願いします。
はい 承知しました。
工房に戻ると すぐに試作に取りかかる。
勤めるのは 12代続く西陣織の老舗。
(金谷)これ 多分のらんと思うよ
今の色から比べると。
金谷は 製造部門の責任者として
9人の職人たちを束ねながら
68歳の今も自ら現場に立つ。
西陣織は
古くから皇室で用いられてきた
織物の最高峰。
数十種類もの多彩な糸を使った
趣向を凝らした装飾。
着物や帯の生地として
京文化を彩ってきた。
金谷がパソコンに向かった。
(金谷)経糸と緯糸の組み合わせのしかたが
織組織っていうんですよ。
経糸と緯糸の重なりを
生地の場所に合わせ 細かく設定する。
さらに 縦横だけでなく
上下の組み合わせも加えることで
思い描く生地の色や質感を
作り出していく。
金谷が糸を取り出した。
糸の表面に漆や金箔などの素材が
塗り付けられた
「箔糸」と呼ばれる光沢のある糸。
今回 金谷は 演奏しやすい
やわらかな生地を作ろうと
あえて 糸数を5種類に抑え
制約の中で生地を作るという。
数ミリ織るたび
織機を止め すぐに修正する。
20以上の工程に分業される織物の製作。
金谷は ほぼ全てについて
知識と経験を持ち
通常の倍以上のスピードで
試作と修正を繰り返す。
一つの流儀がある。
一度目の試作が織りあがった。
全ての糸を生かしきる 金谷の生地。
5種類の糸が結ぶ 新たな形。
暇さえあれば アイデアを求めて
散策する金谷さん。
そのこだわりは
かれることのない探究心にある。
研究者と共同で
電気を通すと光る織物の素材や
温度で色が変わる糸を開発。
さらに 織物を設計するためのソフトや
幅の広い生地を織るための織機も
自作した。
星付きホテルや高級車の内装など
これまでにない
西陣織の用途を切り開いた。
でも 自らに進化を課し続ける
金谷さんの ものづくりには
京都に底流する精神性が息づく。
例えば 本来 表面に用いられてきた
光沢のある箔糸。
脇役として
あえて地の底に忍ばせることで
奥ゆかしい輝きを放つ
品のある生地を作り出す。
♬~
さらに 見えない場所にも気を配る。
全ての糸を使いきる
緻密な設計を行うことで
裏地が驚くほど美しい。
あの~ なんだろう…
今 ちょっとデザインを修正してます。
織りの作業に入って2日目。
依頼主から試作の打ち返しが届いた。
花や滝の柄を白い糸を使わずに
織ることはできないかという。
だが…。
ちょっと これからは
集中力のいる作業なんで
え~ ちょっと
しゃべらないかもしれません!
色数を減らしながらも
柄の存在感を際立たせるという難題。
(織機の音)
新たに織りあげた花びらは
中に空洞が作られていた。
光が当たるたび 存在感が立ち上がる。
さらに 花の輪郭を構成する糸を
あえて長く浮かせ
織り込む角度にも変化を加える。
♬~
あえて暗く落とした花を織り込むなど
一つの答えを見つけてもなお
新たな解を求めていく。
納期まで およそ1週間のこの日。
金谷は 完成した生地を見つめていた。
今回の生地は ピアニストが舞台上で
身にまとうもの。
体を動かしやすく
かつ 優美な曲線を生み出すことで
少しでも演奏を後押しできないか。
織りの構造を一から見直す。
♬~
完成した生地を
依頼主に披露する日。
(金谷)あ どうも~。 ご無沙汰してま~す。
(三原)ご無沙汰してます。
いやいや…。
また一つ
進化した和の世界を仕上げてみせた。
(映像音声)ようこそ 東京へ。
うわ~。
♬~(ピアノ)
(拍手)
♬~
この日 金谷さんは
趣味のソフトボールをしていた。
ポジションは
いつもキャッチャー。
今 金谷さんは
西陣織を代表する職人として
世界の注目を集める。
でも 実は 売れるようになったのは
50歳を過ぎてから。
脇役にすらなれない
挫折だらけの道のりだった。
昭和28年 金谷さんは
織物が盛んな
京都府与謝野町に生まれた。
母 八重子さんは
地元でも評判の織物職人。
自宅では いつも織機の音が響いていた。
(織機の音)
大学を卒業すると
金谷さんは 西陣織を作る会社に就職し
職人として歩み始めた。
「世の中にないものを作りたい」。
仕事のかたわら他の工房にも通い
20を超える織物作りの工程に関われるよう
研さんを積んだ。
42歳で独立すると
材料から設計 製作まで
全てに携わることのできる
自身の工房を立ち上げた。
だが 帯を作り 販売したものの
売れたのは最初だけ。
さらに バブル崩壊の影響が
業界全体を襲った。
高級品である西陣織の需要は落ち込み
作るほどに 借金がかさんでいった。
工房をたたみ 家も手放したが
それでも 2, 000万円の借金が残った。
金谷さんはお金を返すため
西陣織の会社に再就職し
いち職人として働き始めた。
転機は 53歳の時だった。
フランスで開催される
世界最大のインテリア見本市…
そこで 開発した織物を売り込む
責任者に任命された。
金谷さんは半年をかけ
趣向を凝らしたクッションを作り
持ち込んだ。
社運を懸けたプロジェクト。
でも 結果は出せなかった。
よくとしも また次の年も
販路を開拓するには至らなかった。
だが その時 先代の社長が言った。
金谷さんは言われるままに
これまで作ってきた生地を
もう一度 一から見直した。
自分は本当に
全てのことをやりきったといえるのか。
柄の背景を生かすための
奥ゆかしい箔糸の使い方。
全ての糸を主役に据えることで生まれる
無数の配合の試作。
諦めようとしていなかったか。
その生地を 建物の壁紙として使いたい
というデザイナーが現れたのは
金谷さんが56歳の時だった。
その作品をきっかけに 世界中から
仕事の依頼が殺到するようになった。
今 金谷さんは あの時
先代の社長が口にした言葉を
こう捉えている。
6月。
かつてない挑戦が始まろうとしていた。
京都の文化施設が集まるエリアに
オープンするホテル。
そのスイートルームの顔として
金谷の織物を使いたいという。
部屋の中にありながら 京都の風土や
情緒を感じることができる
誰も見たことのない織物。
(松浦)ありがとうございます。
金谷は すぐに作業に取りかかった。
名所や庭園など
印象的な京都の景観を探し歩いては
アイデアを練る。
考えたのは
水と木々が織り成す京都の自然を
写実的に生地の中に織り込むこと。
陰影や濃淡を多彩な織りの技で再現する。
だが 準備を始めて1か月。
プロデューサーを務める社長から
思わぬ提案を告げられた。
うん…。
今のアイデアとは別に
異なるアプローチを試すことは
できないかという。
これまで準備してきたアイデアには
自信がある。
10日後。
金谷は提案を受け入れ
生地そのものが水を表す織物に
挑み始めていた。
何が出てくるでしょう フフフ。
取り寄せたのは ガラスの板。
生地の間に挟むことで
水面の透明感を表現したい。
これと…。
3日後。
おはよう。 お疲れさん。
(取材者)よろしくお願いします。
よろしく はい どうぞ。
工場にこもり 試作が始まった。
目指すのは
水の生命感と静謐さが同居する
誰も見たことのない織物。
ガラスを挟む2つの生地に
異なる織りを施すことで
複雑な水の反射をも表現したいという。
すぐに織機を止めた。
試作を繰り返すが
思い描く理想には程遠い。
午後 金谷は別の生地を見つめていた。
最初から温めてきた
精緻な技巧をつぎ込んだ一枚。
♬~
誰に聞かせるでもなく
金谷は そう口にした。
(織機の音)
午後の試作を続けている時のことだった。
ここ…。
ガラスの透明感を
透き通った箔糸で表現するという
新たなアイデア。
だが それでも満足しない。
♬~
あっ 村田さん いいですよ。
しめて帰りますよ。
♬~
糸の連なりが 水の光をまとい始める。
♬~
ここ…。
♬~
いらっしゃいませ。
依頼主に 織り上げた生地を披露する。
(松浦)早速。
(社長)早速 あの これ裏です。
(松浦)はいはいはい。
その時。
丁寧に織り込まれた裏地も
使いたいという。
金谷は 笑った。
そして すぐに
新たなアイデアを提示する。
金谷は 振り返らない。
進化は 止まらない。
♬~(主題歌)
11月。
失礼します。
おお…。
完成した織物が披露された。
♬~
(金谷)泊まらなきゃいけないね ここ。
ハハハハッ。
♬~
絶対 いろんな工夫しながら
自分を進化させていってるはずなんだよ。
それが僕 プロだと思うんだよね。
もう これで達成できたから
これを継続しようなんてことを
一瞬でも考えたら
もうプロじゃないと思うな うん。
♬~
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