100分de名著forティーンズ[新]1 トルストイ 人は何で生きるか×若松英輔[解][字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

100分de名著forティーンズ[新]1 トルストイ 人は何で生きるか×若松英輔[解][字]

ある雪の日、行き倒れの青年を引き取ることになる貧しい靴職人の夫婦。青年は無口だが、人一倍仕事に精を出し誰もが認める職人へ。いったい青年の正体とは?

番組内容
さまざま出会いにより少しずつ何かに気づいていく、拾われた青年。やがて夫婦は、彼から人生にとって最も大切なことを教えてもらうことになる。誰でもわかる易しい言葉で語られたこの物語を、単に自分の外側の物語ではなく、自分の内面の物語ととらえると、深い真実が見えてくるという批評家・若松英輔さんの読みを通して、「人生にとって一番大切なものは何か」を学んでいく。
出演者
【司会】加藤シゲアキ,安部みちこ,【講師】批評家・随筆家・東京工業大学リベラル…若松英輔,【ゲスト】鈴木福,【朗読】下野紘,花澤香菜,【語り】目黒泉

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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  1. ミハイル
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  12. 天使
  13. 一緒
  14. 回目
  15. 今日
  16. 女性
  17. 良心
  18. 靴職人
  19. 最初
  20. 作品

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

「100分de名著」 8月は…

10代のために選んだ名著を
気鋭の専門家が徹底解説!

第1回は ロシア文学。

短いけれど
大きな愛のお話です。

朗読は 人気声優の この2人。

作家でもある加藤シゲアキさんと一緒に

トルストイからのメッセージを
読み解きます。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「100分de名著」 司会の安部みちこです。
加藤シゲアキです。

今回は 夏休み特別企画ということで
加藤さんと一緒にお送りします。

はい よろしくお願いします。
よろしくお願いします。

いやぁ 好きな番組だったんで
ほんとに光栄です。

4回 よろしくお願いします。
お願いします。

そして今回は ゲストもお招きしています。

1回目 2回目は 俳優の鈴木 福くんです。

福くん 18歳になられたんですよね。
はい 18歳になりました。

大人! 成人ですね。
そうですね 新成人です。

さあ では 第1回でご紹介する本は
こちらです。

「戦争と平和」で有名なトルストイが書いた
「人は何で生きるか」。

加藤さん まずトルストイは
何かイメージありますか?

とにかく非暴力 非戦争で 平和主義だった
っていうイメージだけですね。

具体的に読んだことはないので
今日すごく勉強したいなと思ってます。

では 指南役 ご紹介しましょう。
批評家の若松英輔さんです。

(一同)よろしくお願いします。

随筆家でもある若松英輔さん。

数々の名著を紹介してくれた若松さんが
10代のために選んだのは

「人は何で生きるか」。

(砲撃音)

ロシアがウクライナに軍事侵攻した
2022年の今

届けたい名著だといいます。

トルストイというのはですね
絶対非戦論ってことを説いた。

戦争そのものというものを
否定した人なんですね。

そういう人の言葉は
やっぱり今 この時期に

やっぱり少し味わってみたいなって
思っています。

では基本情報を見ていきましょう。

19世紀 帝政ロシアの時代に創作された
「民話」です。

民話ってのはですね
昔話ってのとは ちょっと違って

誰でも 万人のための物語だって
いうことなんですね。

ですんで この夏休み 皆さん広くですね

そんな厚い本ではないので
ぜひ読み通して頂きたい。

この作品の
ほんとの最初の最初のところには

6つの聖書の言葉が並んでいます。

この部分 若松さん 大事なんですね。
そうなんです。 とっても大事で。

1つのことを6つの側面から見てる。

そのうちの1つを加藤さんに
読んで頂こうと思うので。

そうですか。 聴いて下さい。
じゃあ 読ませて頂きます。

今 大変上手に読んで下さったんですけど。
(加藤)ありがとうございます。

ハハハ そんなそんな…。
世界が なんか変わった。

愛と神ってのは同じなんだって
いうんです。

これは この作品を読む時に
とても大事だと思うんですけど

現代の日本で 神って言われると

もう自分と関係なくなってしまうって方が
多いんじゃないかと思うんですけど

実は 愛は神であり 神は愛だからだ
っていうわけですね。

同じものの違う姿なんだと
トルストイは 考えているんですね。

じゃあ 愛について考えながら
まずは物語を読んでいきましょう。

朗読は 声優の花澤香菜さんと
下野 紘さんです。

腕はいいが 酒飲み。
貧しい靴職人のセミヨン。

ある日 新しい毛皮を買うため
客のもとへ集金に行きます。

しかし 当てにしていたお金をもらえず

やけ酒を飲んで こんな心境に…。

帰り道 礼拝堂の陰に何やら
「白いもの」が見えました。

そばへ寄ってみると 裸で座ったまま
身動きもしない 人間でした。

生きているか死んでいるかも
分かりません。

怖くなったセミヨンは
一度は通り過ぎたのですが

気がとがめます。

自分の上着を男に着せ
家に連れて帰ることにしたセミヨン。

気がかりだったのは

妻の反応。

案の定…。

激怒したマトリョーナでしたが
男の苦しげな様子を見ると

急に黙り込みます。

その隙に セミヨンは訴えました。

まあ妻としては
あの状態の人間を連れてこられたら

ああなるだろうなと思いますけどもね。
そうですねぇ。

でも このせりふは ちょっと
グッときましたね。

(加藤)そうですね。 でもセミヨンも

最初は一回 通り過ぎるわけですよね。

セミヨンも そんなことを言える
人間なの? ってことなんですよね。

でも もう自分の深いところから なんか
自分を超えて出てくるような言葉なんだ。

それを なんか「良心」って言葉で ちょっと
表現してみたいと思うんですよ。 「良心」。

17世紀 フランスの哲学者で
デカルトって人がいるんですけど。

良識ってのは もう万人に
与えられてるんだと言ってるんですよね。

トルストイは
良心だってそうなんだって。

私たちの何か…

…ことを 私たちに教えてくれようと
してるんじゃないのかなと思うんですね。

あるんでしょうかね 全員に…。

持っていたいとは思いますけどね。

結構 僕らは 余裕があってしまう分

助けたいけど
なんか おせっかいかもなって

思ってしまう部分って
あるじゃないですか。

そこを どう踏み込んでいくのか。

じゃあ 良心の目覚めってことで ちょっと
言葉として まとめさせて頂くと

いつ目覚めるのかっていうと

なんか余裕がある時とか
気分がいい時とか

そういうんじゃないんだって
トルストイは言ってるんです。

もうギリギリですよね。
お金がないうえに

もう一人 養わなきゃいけない。
とんでもない状態なんだと。

でも そういう…

確かに。
まあ私たちはコロナ禍で生きていて

苦しい人のことを最も考えたのは苦しい人
だったってことなんでしょうね きっと。

こういう世の中で
本当にいいのかってことなんですよね。

あぁ~ なるほど。

このセミヨンが助けた この男は

謎の男で
素性は一切明らかにしていないんですね。

ただ一つだけ 名前だけが分かっていて

名前はミハイルなんですが。

ミハイルってのは もうキリスト教の
世界では 悪と戦う天使なんですけど

このミハイルって名前が付いてくると
海外の方だと

「あっ ちょっと人間だけでは終わらないん
じゃないか この人は」ってことは

感じるかもしれないですね。
う~ん。

でも なんで じゃあ その天使が
ここにいるのか。 裸でいたのか。

謎は深まるばかりですね。
そうですね そうですね。

このあとミハイルは居候となりまして
靴職人になっていきますが

その後どうなっていくか
読んでいきましょう。

一年がたち ミハイルは
評判の靴職人になっていました。

ある冬の日 横暴な金持ちの男が
注文に やって来ます。

「いいか 忘れるな。
一年もつように縫うんだぞ」。

「この馬鹿野郎!
何でニヤニヤしてる?

それより 期限には縫いあげるんだぞ」。

早速 作業に取りかかったミハイル。

しかし 作り始めたのは
注文された長靴ではなく 短靴でした。

驚いたセミヨンが 小言を言い始めた

その時…。

(ノック)

誰かが訪ねてきます。

先ほど長靴を頼んだ男の
お付きの若者でした。

「ええっ!」。

何か 不思議な…
そのさっきのね お話を聞いたから

ああ そういうことなんだっていうのも
分からなくないですけど。

注文されたものじゃないのを作ったけど
それで よかったってことですもんね。

先が見えている。

このシーンは
実はとっても大事で 嫌な男でしたね。

…というのが 私たちの
現実なんじゃないかと思うんですね。

でも 実は そうじゃないっていう問題が
突きつけられている。

明日 死ぬっていうふうに
私たちは思わないまでもですね

自分の大事な人と一緒にいる時に

もう この人とは
会えないかもしれないんだって

心のどこかで思うことは 決して
悪いことじゃないんだと思うんですよね。

というのは 私たちは1日というものを
もっと大事にできるんだと思うんです。

もっと慈しむことが
できるんだと思うんです。

何か 生に関しても死に関しても

あんまり考える時間が
今まで少なかったなって。

「ミハイルが だんなを見ないで

後ろの隅を見つめています」という
表現がありました。

これは 何を見ているんでしょうか?
そうですね 私たちには見えませんけど

ミハイルには ご同業の方が
見えるわけですよね やっぱり。

死に神じゃないですね。

死に神かなと思ってたんですよ
僕 これ読んだ時に。

確かに そう思いますね。
死期が近いっていうと。

あのですね 死ぬっていうことは
決して悪いことではなくて…

…というのが トルストイの理解なんです。
なるほど。

だから 天使が出てくるんです。

で ミハイルは 少しほほ笑むということに
なるわけですけどね。

ミハイルが笑うのは
この物語の中で 3回だけなんですね。

あのね ここの笑いというのはね
安堵の笑いですよね。

あ~ そうだったのかということが
本当に 全身で納得されて

それが ほほえみになる。
腑に落ちた。 納得した。

今 この2回目の笑いのところは そうは
なかなか思えないですよね。 見ていると。

それが あとになってくると
なるほど ということになってきます。

では 3回目に笑った6年目の
ある日の場面を見ていきましょう。

身なりのいい女性と 双子の女の子が
靴の注文にやって来ました。

話を聞くうちに どうやら彼女たちは
実の親子ではないことが分かります。

彼女は 母を亡くした双子を引き取り
我が子と一緒に育て始めます。

しかし 2年後
自分の子は亡くなってしまいました。

すると 突然 ミハイルのいる辺りから
光がさし 部屋中を照らしました。

ほほ笑む ミハイル。

女性たちが帰ると
セミヨンたちに 驚きの告白をします。

ミハイルは 神様から罰を受けて

地上に落とされた
天使だったということで

彼が 神様から託された 3つの言葉
というのは 何だったんでしょう?

一番最初はですね

「人の中には何があるのか?」
ということなんですけど

ミハイルがですね
道端で助けられますね。

そういうことが起こるということは

すべての人の中に 愛の種が
あるんだっていうことなんですね。

2つ目は
「人に与えられていないものは何か?」。

金持ちの男が長靴を注文した。
でも この日のうちに亡くなってしまう。

人の命というものは

人間が思ってるような
姿をしていないってことですよね。

そういう叡智が

人間には 実は与えられていないんだ
っていうことが分かった。

3つ目なんですけども
「人は何によって生きるのか?」

これは やっぱり自分以外の
「他者への愛」なんだということなんだ。

双子の子供を引き取った女性が
出てきましたよね。

あの女性こそですね とっても大きな
試練が そこにありますよね。

なんですけども そういう中で 彼女が
自分の中の愛を育てていくっていう

他者への愛というのは
実は 他者からの愛でもあるんです。

自分が愛することっていうのが
大切なんだよっていうのが

何か今の話を聞いてて思ったので

それで言うと好きっていう
人のことをね 好きって思ったりとか

仲よくなりたいっていう思いが
いっぱいあるので

それが 自分のことを好きでいられる

自信にもなってるのかなとは
思いました。

いや いい子だなぁ。 高校生の時は
そんなこと思えなかったですよね。

全然 思えなかった。

とても大事なことを
教えて下さったんだと思うんですけど

愛は注がれてる時 実感しづらくて

自分が…

子供を育てると
その感覚は すごく分かります。

自分の子供を育てると

あっ 自分も こんなふうに
大事にされてたんだろうなという。

母親は 僕に 弁当を
ずっと作ってくれてたわけですよね。

その時は 朝起きたら 弁当があるのは
当たり前だったわけですよ。

で 行って食べて
今日 おいしくなかったな みたいな。

おいしい時より おいしくない時の方が
印象に残るわけですよね。

そういうことを言っちゃったりして。

でも 今 思えば すごいなと思うんですよ。

うちの母親は
すごいことをやってたんだって

今頃だけど ありがとうと思うっていう。

でも不思議なのは ほんとに
ありがとうって言われなくても

こっちは 元気で食べてくれるだけで
うれしいので

こっちが ありがとうって
思うんですけどもね。

毎朝 今日も元気で
登校してくれて ありがとうって

うれしいなって思うので
こういう感じですかね。

愛だなぁ。 それが 愛なんです。
他者への愛。

全然 見返りを求めてないわけだから。
それが 愛です。

天使の姿に戻ったミハイルは
最後に こう言います。

神は 愛である。 ですね。 だから今のが
ミハイルの最後の言葉で

こちらが 冒頭の「聖書」の言葉です。
似たようなことを言っていましたかね。

(加藤)言葉こそ違えぞ
もう言ってることは同じですよね。

ここで気付いたのが
先ほど おっしゃってた…

なんと!
そんな構成になっているのかも。

いや トルストイなら
やりかねないですよね。

トルストイが 作ったっていうよりも
そうなっていくんだと思うんです。

ああ。
なっていくんです。

大事なのは。
なるほど。

改めて この作品で出てきた
この3つの言葉。

今の時代を生きる私たちにも
問われていることかなと思うんですが。

…って トルストイは
よ~く分かってるんです。

なのか~。

この愛から 僕は何を思おうっていう

そのお話を思える人が
どれだけ増えるかっていうのが

それこそ愛をね 他者へ与えられる人が
もっともっと増えて

より コミュニケーションの深くとれる時代に
なっていくんじゃないかなと思いました。

私たちがですね
答えを見いだしていこうとすると

答えを持ってる人に
従うようになるんです。

でも 私たちが 自分の中に
「問い」を見つけることができれば

人間を超えたものとすら
対話できるんだと思うんですよね。

ですので…

…というのが 僕の若い人たちへの
本当に真摯な まあ願いなんです。

いや 皆様
今日は ありがとうございました。

(一同)ありがとうございました。

♬~

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