100分de名著“太平記” [新](1)「“あわいの時代”を生きる」[解][字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

100分de名著“太平記” [新](1)「“あわいの時代”を生きる」[解][字]

悪政によりほころび始めた鎌倉幕府。執権・北条高塒を討ち天皇中心の政治を打ち立てようとする後醍醐天皇は、初期段階こそ失敗するが、その後、大きく盛りかえしていく。

番組内容
後醍醐天皇は、足利尊氏、楠木正成、新田義貞ら新しい時代の英雄たちに助けられ、ついに鎌倉幕府を滅ぼす。一見優柔不断で弱くみえる尊氏や、夢告によって見出される異端的英雄・正成は、これまで全く存在しなかった新しいタイプの人物であり、価値観が激変する「あわいの時代」を生き抜くヒントを体現しているという。第一回は、「太平記」に描かれる異端的人物から、価値観が激変する現代を生きるヒントを学んでいく。
出演者
【講師】能楽師…安田登,【司会】伊集院光,安部みちこ,【朗読】玉川奈々福,【語り】加藤有生子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. 時代
  2. 後醍醐天皇
  3. 楠木正成
  4. 太平記
  5. 天皇
  6. 武士
  7. 鎌倉幕府
  8. 新田義貞
  9. 人物
  10. 足利高氏
  11. 平家物語
  12. 鎌倉
  13. 武将
  14. 北条高時
  15. 安田
  16. 血筋
  17. 朝廷
  18. 義貞
  19. 君主
  20. 言葉

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

天下の忠臣 楠木正成。

鎌倉幕府を滅ぼした 新田義貞。

室町幕府を開く 足利尊氏。

名だたる武将が 敵味方に分かれて戦う
「太平記」。

軍記物語の古典です。

武士の時代が続いた 鎌倉時代末期。

そこに 幕府打倒を目指す
後醍醐天皇が登場。

天皇に味方する武士と
幕府方の武士が激しく争います。

天皇・朝廷という
「公」と

武家政権の「武」が
せめぎ合う

「あわいの時代」。

時代の転換期を生き抜くヒントを
読み解きます。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「100分de名著」
司会の安部みちこです。
伊集院 光です。

伊集院さん 以前 この番組で「平家物語」を
取り上げたのは覚えてらっしゃいますか?

覚えてますよ。
その回を見た 久米 宏さんが

このスタジオにいれる君が
羨ましいっていう。

あまりに その朗読
解説が すばらしかったんで。

いやぁ 面白かったですよね。
面白かったです はい。

というのはですね
今月 取り上げる本が

「平家物語」の先の時代を描いた本
「太平記」なんですね。

特徴としては まずですね

日本の歴史文学の中でも最も長いと
いわれるほど長いんですね。 長い。 はい。

しかも たくさんの登場人物が
出てきます。
はい。

ということは 難しいと。
もう覚悟して入ります。 はい。

教えて下さるのは 「平家物語」に続いて
能楽師の安田 登さんです。

よろしくお願いします。
お願いいたします。

よろしくお願いします。

古典への深い造詣に基づき
ジャンルを超えた活動を続けています。

今回は 能と同時代に生まれた
「太平記」の魅力を語ります。

では まず基本情報から見ていきましょう。

まず 全40巻です。

かなり長いというのが特徴なんですね。
長いですね。 はい。

「平家物語」 13巻ですから
その3倍以上という すごい長い巻ですね。

で 成立した時代は室町時代。

鎌倉幕府の滅亡から 天皇が同時期に
2人存在したという南北朝時代を経て

足利義満の時代になるまで

50年ぐらいの間の動乱を
描いているんですね。

その前がですね まず平安時代。

これは 朝廷の時代ですから
公の時代ですよね。
「公」 はい。

それから平家 鎌倉と
「武」の時代がやって来ますね。

この「武」の時代ができたかなと思ったら

これに問題が起こることによって
そこに…

「公」は まあ朝廷
お公家様とか そういうことですか?

そうですね。
天皇を中心としたお公家様ですね。
はい。

人物を見ていきましょうか。

たくさん出てきますので

まずは 前半に出てくる人物の中の
主な人たちです。 はい。

さすがに 名前は聞いたことがあります。

全部?
はい。 おお~。

この中で「公」と「武」 分けるとすると

どうなるんでしょうか? 安田さん。

まずは 鎌倉幕府の最後の執権 北条高時。
これはもちろん武ですね。

これは武士の方ですね。 はい。

そして後醍醐天皇は もちろん「公」です。

はい。 朝廷の方 「公」。

楠木正成は 一応 武士なんですけども

最初から 後醍醐天皇側なんで
「公」に入れておきたいと思います。

新田義貞 これは最初
鎌倉幕府に仕えてたんで「武」なんですよ。

ところが
途中で後醍醐天皇の方に行きますので

「武」から「公」に変わった人ですね。

変わる人もいるんですね。
そうです。

で 足利高氏 これも最初は鎌倉幕府。
はい。

で 後醍醐天皇に行くんで
「武」から「公」なんですけども

最終的に
後醍醐天皇と争うことになるんですね。

だから
「武」が「公」になり また「武」になったと。

ちょっと このポジションを見るだけでも
公・武 入り乱れて

ぐちゃぐちゃの時代っていうの
ちょっと分かりますね。

「公」と「武」が争う 「太平記」。

実は 先立って成立した軍記物
「平家物語」の構造に

影響を受けているといいます。

「おごれるものは久しからず」。

「平家物語」は 隆盛を誇る平氏が

平清盛の死を頂点に滅びへ向かっていく
物語でした。

「太平記」の前半も
鎌倉幕府の武家政権が

楠木正成の活躍を機に
滅びへと向かうのです。

まずは 「太平記」の冒頭
「序」を読んでみましょう。

「古から 今にいたる
世の移り変わりの中に

平和と乱世との由来を 私なりに
よくよく考えてみると

万物をあまねく覆うものこそが
天の徳だと分る。

明君は この徳を身に備えて
国を治めるのである。

一方 国家の運営を任せて

疎んずることのないのが
地の道である。

だから良臣は この道理に従って

重要な国家祭祀を
守ってゆくのである。

もしも 君子に
天の徳が欠ける場合には

かりに帝位にあっても
その位を維持することはできない。

また 臣下が
地の道を誤った政治を行うならば

権勢があっても
その地位を維持することはできない」。

正直に 聞き覚えはなかったんですけど
言ってることの内容は

何かこう 「おごれるものは久しからず」
みたいな話ですよね。

やるべきことを忘れちゃったら
もたないよっていうことで

合ってますかね?
はい そうですね。

基本は それで合ってると思います。
そういうことですよね。

あと キーワードのようなものが
出ていたのが

何で 平和になったり
荒れたりするんだというところで出た

「天の徳」と
「地の道」というのがありました。

君主と臣下の関係ですね。

これ どっちがいいと
偉いというわけじゃなくてですね

天地で一つなんですよ。
だから両方が相まってなきゃいけないと。

下から読むと 「道徳」と読みますでしょう。

ああ はいはい。
これも一つなんです。

何か イメージ 大きな会社の創業者の
社長とか会長とかは

漠然と この会社は こうあるべきだよ
っていう 何か方針を体現してる人で

でいて 重役たちとか 役職たちは

じゃあ 具体的に こうしましょう
ということをやる みたいな。

それが きちんと機能してないと
もたないよっていうことですね じゃあ。

まさに おっしゃるとおりで…

なるほど なるほど。

何か 大きくベースになっている学問とか
そういうのはあるんですか?

そうですね 儒教なんです。
ほう。

特に「論語」が とってもよく
引用されますね 「太平記」では。

その「論語」に
大事な部分があるというのですが

それが こちらです。

君主がですね
政をするには 徳をもってする。

そうすると 北極星が ちょうど
そこの位置にいて 周りの星がですね

「共」というのは 拱手の礼といって

こういう礼なんですよ。

黙って こんなふうにする。

これが正しい政治だと。

だから 君主は
何かをしちゃいけないんですね。

トップの上司が
細かいことまで動いちゃうと

それが いいかっていうと
あんま良くないですもんね。 そうですね。

「太平記」の人物の その徳 どうだったのか
というのを見ていきましょう。

まず 一番 ひどく書かれてるのが
北条高時なんです。

駄目ですか。
はい。

今の「鎌倉殿の13人」 北条家は
ず~っと すばらしかったんです。

ところが「太平記」によると この高時から
めちゃくちゃになるんです。

闘犬に狂ったりとかですね
あるいは田楽に狂ったりとかですね

好き放題なことをやっていて
周りの武士たちも それにあきれるという。

本来は まあ 北条のトップなわけだから
天ですか?

それとも この人は
地であるべき人ですか?

実質的なものとしては 天なんですよ。
はいはいはい。

ところが一応 日本全体を考えると
天皇が天で それから 武士というのは

それを支える人ですから
地だと考えるといいと思いますね。

ちょっと複雑なポジションにいて

しかも 天としても地としても
まずそうですね。

ハハハハ 確かに そうですね。
何かね 今 聞いてる限りはね。

そもそも この時代
何で こんなに世が乱れたと

安田さんは お考えなんでしょうか?

私は この時代を
「あわい」の時代と呼んでるんです。

「あわい」。
はい。

平仮名で 「あわい」。
ほう。

実は
「間」と「あわい」は ちょっと違ってまして。

違うんですか。
はい。

「間」というのは もともと空いてる場所
という言葉から できたやつで

AとBの そのアマングの状態
これを「間」というんです。 なるほど。

「あわい」というのは
2つのものが重なってる状態。

「合う」から来てる言葉なんです。

これを 「あわい」というんですね。

いろんなものが重なって
変化していく時代。

実は それは多分
現代もそうじゃないかと思っていて。

なるほど。 徐々に移り変わってる間に
あれっ 前の常識でやっていいのか

新しい常識に従うべきなのかで ちょっと
やっぱり混乱する時期ですもんね。 はい。

まさに ここは その時代で 現代も今
そうということですね。 そうですね。

この「太平記」前半の人物の中で

とりわけ優れた人物として
描かれている人がいるんですね。
はい。

それが この楠木正成です。
はい。

楠木正成は
後醍醐天皇に尽くすんですけれども

この2人の出会いというのが
とても不思議なんです。

へえ~。
まず そこからご覧下さい。

後醍醐天皇は 鎌倉時代に
禅僧が 宋から持ち込んだ学問

宋学を 熱心に学んでいました。

「朱子学」とも呼ばれる
この儒教思想には

「一人の王のもとに
国家は統一されるべきだ」という

考えがありました。

後醍醐天皇は
天皇自らが政治を行うことを目指し

幕府打倒を企てます。

しかし その計画は
二度にわたり 幕府に露見。

後醍醐天皇は 京都を脱出。

笠置山に逃れます。

援軍も少なく 窮地に陥る中

後醍醐天皇は うたた寝をして
こんな夢を見ます。

宮中の庭先と思われるところに
大きな常緑樹があり

南に向けて伸びた枝が
特別 勢いよく生い茂っていた。

その下に 大臣など 公卿が
並んで座っていたが

南に面した席には 誰も座っていない。

「はて 誰が座るための座席なのだろう」と
いぶかしんでいるところに

2人の童子が現れた。

童子は ひざまずき 「この世には
帝が身を隠せる場所はありませんが

あの座席は 帝のための玉座。

しばらく そこにいて下さい」と言うと
天高く のぼっていった。

そんな夢を見た 後醍醐天皇。

木に 南と書くのは
「楠」だ。

翌日 寺の僧を呼びました。

「『もし この辺に
楠と謂へる武士やある』と

御尋ねありければ」。

「河内国 金剛山の西にこそ

楠多聞兵衛正成とて

弓矢を取つてさる物ありと

人にも知られたる者は候ふなれ」。

「主上 具に聞こしめして

『さては 今夜の夢の告げは
これなりけり』と思し召しければ

やがて 正成をぞ召されける」。

後醍醐天皇のもとに はせ参じた
楠木正成は 挙兵を快諾。

初陣となった赤坂城の戦いでは

攻めてくる敵を 罠にかけます。

「寄手 いよいよ気に乗って
四方の屏に手をかけて

同時に超えんとしけるところを」。

「元来 二重に塗って

外の屏をば切り落す様に
拵へたりければ

城の中より
四方の屏の釣縄を

一度に切ってぞ落しける」。

「屏に取り付きたる兵ども千余人
推しに打たれたる様にて

目ばかり動くところを」。

「大木・大石を抛げ懸け抛げ懸け
打ちける間」。

「寄手また今日の軍にも
七百余人は討たれにけり」。

正成は奇策や計略を駆使し 幕府軍を翻弄。

後醍醐天皇のために 大いに働くのです。

出会いは 夢がきっかけなんですね。

そう 夢がいいでしょう。
ああ いいですね。 はい。

楠木正成は
どういう武将だったんですか?

それまでの源氏と平家は

両方とも これ 天皇の血筋だということを
自分で誇ってたんですね。

ところが 楠木正成は
全く出自が分からないんですね。

これを当時 「悪党」と呼ばれていて
そういう人たちをですね。
ほう。

今の悪党とは ちょっと違って
悪というのは強いという意味なんですよ。

へえ~。 強い人たち
ということなんですね。

さまざまな方法を使って 忍びを使ったり
あるいは 情報戦をしたりとかですね

偽情報を流したりとか
そういうことをするような人でした。

血筋と腕っぷしみたいな時代に
とんでもないやつが現れましたね。

まさに
あわいの時代だからこその人物ですね。

実は 中国のあわいの時代である
「三国志」の時代に

「人物志」という本が
書かれてるんですよ。
はい。

この中でですね 一流の人 二流の人
という言い方してるんですね。

一流の人というのは 一つの専門家
二流の人は 2つの専門家。

こういう人に国を任せてはいけない
というんです。
ほう。

なぜなら それは
その人は その専門家なんで

それ以外を駄目だと思っちゃう。
はい。

楠木正成も 武将でありながら
商人としても成功してるし

もう 何でもする人なんですよ。

そういう 多分…

「三流」って言葉だけ聞くと
今の使い方だと駄目な人ですけども

いろんなことができる人。
そうです そうです。

自由な発想も出てきますし
もう非常識なんて 全然 気にしない。

それが 三流のすごさですね。

さて では 物語の方 見ていきますと

楠木正成が
そういった すばらしい活躍をしたので

そのあと 幕府から離反して
後醍醐天皇側につく人が出てきます。

それが 新田義貞と足利高氏ですね。

さあ そうなっていき
鎌倉幕府は終わりを迎えていきます。

新田義貞 足利高氏は
共に源氏の血筋の武将。

義貞は 平家の血筋である
北条氏の堕落ぶりを見限り

天皇を支えることを決めます。

一方 足利高氏は 体調も悪い中

北条氏から討幕軍追討を命じられたことに
不満を高めていました。

後醍醐天皇は
隠岐に流されていましたが 脱出。

鳥取県の船上山に籠城。

足利高氏は 幕府側の司令官を任じられ

京都に向かっていましたが
一転 討幕を表明。

高氏が寝返ると 加勢する武将が増え
幕府は劣勢に立たされます。

関東では
新田義貞が鎌倉に攻め上ります。

海と山に守られた鎌倉の守りは堅く
攻撃は難航。

そこで義貞が
稲村ヶ崎で黄金の刀を竜神に捧げると

なんと 海が干上がり
義貞軍は 海岸線から鎌倉に突入します。

鎌倉を制圧された北条高時ら一門は
東勝寺で集団自決。

それは 壮絶な光景でした。

「あるいは自ら腹を掻き截つて
炎の中に飛び入る者もあり

あるいは 父子兄弟さし違へ
重なり臥すもあり」。

「血は流れて大地に溢れ

袞々として洪河の如く

尸は 行路に横たはつて

累々として郊原の如し」。

「九代の繁昌
一時に滅亡して

源氏多年の蟄懐
一朝に開くる事を得たり。

驕る者は久しからず。

理に 天地 助け給はずと謂ひながら

目前の悲しみを
みる人々


涙をぞ流しける」。

う~ん 出てきましたね。 出ました。
「おごれる者は久しからず」。

あの 義貞の方は すごく
その 天と地が分かりやすいというかね

北条っていう天には
ちょっと これ ついていけねえな。

いや だったら 後醍醐天皇という天に
自分は 地として つきたいというのは

何か すごく しっくりきますね。
そうですね。

足利高氏は まず この前の年に

後醍醐天皇を討てって
北条高時から言われるんですけども

実は その時に 自分のお父さんが
亡くなって 法事だったんですよ。

悲しみも癒えてないのに
そんなことをさせるのかと。

で 今回は今回で 体調悪いと。

こんな時に言うのは
ひどいやつだということで

なら 寝返っちゃおうか みたいなとこも
あるんですね。

でも それにしても 一気に滅びましたね。

これが
あわいの時代の怖さでもあるんですよ。

はあ~…。

旧時代の価値観を捨て切れない
っていうことですかね? そうですね。

ご存じのとおり
尊氏が 室町幕府をつくりますけども

彼 あんまり かっこよくないでしょう。

ちょっと面白いキーワードですね。
はい。

「弱さが次の時代をつくっていく」?
はい そうですね。

北条高時だけが強い人なんですよ。

後醍醐天皇も 実は弱い天皇で

中継ぎの天皇だったんですね。

そして 楠木正成も
出自がはっきりしないし

新田義貞も
高氏なんて あんな性格ですから

みんな 弱い人たちなんです。

結局 その弱い人たちが力をつけていく。

変化の あわいの時代ですから…

やっぱり こう 今までの実績とか
そういったもので動けないという状態と

もう こっち 捨てるもんないわけだし
という その捨てるもんない側の方が

思い切った行動ができるのは
ちょっと分かるかな。

弱かったけれども 開き直って

しかも 才能があった楠木正成は
時代とフィットしたんですよ。

それは すごいよく分かるな。

ちょっと わくわくしちゃうのが

ほら 「おごれるものは久しからずや」
じゃないですか。

後醍醐天皇 どうなるっていう。
建武の新政。

はい。 はい。 さあ
どうなっていくんでしょうか。

それは次回ですね。
安田さん ありがとうございました。

ありがとうございました。
ありがとうございました。

♬~

Source: https://dnptxt.com/feed/

powered by Auto Youtube Summarize

おすすめの記事