100分de名著 アリストテレス“ニコマコス倫理学”[終](4)“友愛”とは何か[解][字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

100分de名著 アリストテレス“ニコマコス倫理学”[終](4)“友愛”とは何か[解][字]

人間は「社会的動物」であり、人間と人間との深いつながりなしには、幸福な人生は考えにくい。そのような人間同士の相互的な絆のことを、アリストテレスは「友愛」と呼ぶ。

番組内容
アリストテレスは、友愛を「人柄のよさに基づいた友愛」「快楽に基づいた友愛」「有用性に基づいた友愛」と三分類。「友愛は愛されることよりも愛することに本質がある」と分析する。自己愛と友愛の関係など彼の友愛論は「愛」について考察するための豊かな素材に満ちている。第四回は、最も有名な友情論と言っても過言でないアリストテレスの友愛論を紹介して、人間にとって「友情」とは何か、真の「愛」とは何かに迫っていく。
出演者
【講師】東京大学大学院総合文化研究科教授…山本芳久,【司会】伊集院光,安部みちこ,【朗読】小林聡美,【語り】小坂由里子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. 友愛
  2. アリストテレス
  3. 人柄
  4. 友人
  5. 有用性
  6. 必要
  7. 伊集院
  8. 一緒
  9. 人間関係
  10. 相手
  11. 自分
  12. 面白
  13. 友達
  14. 与太郎
  15. 一人
  16. 一番
  17. 時間
  18. お酒
  19. ニコマコス倫理学
  20. 今回

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

♬「いちねんせいになったら
いちねんせいになったら」

♬「ともだちひゃくにん できるかな」

いくつになっても 入学式前の
不安な気持ち 忘れられないなぁ…。

人々が 友達関係に思いを巡らせるのは
いつの時代も変わらないようです。

2, 400年ほど前 古代ギリシャの哲学者
アリストテレスも こう言うのです。

「100分de名著」
アリストテレスの「ニコマコス倫理学」。

今回は 偉大なる哲学者が考えた
「友愛」を読み解きます。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「100分de名著」
司会の安部みちこです。
伊集院 光です。

今月は 古代ギリシャの哲学者
アリストテレスの

「ニコマコス倫理学」を取り上げています。

前回は 「徳」と「悪徳」について考えました。
伊集院さん いかがでしたか?

まあ それにしても
もう 2, 000年どころじゃない

もっと昔に もう既に こういうことを
アリストテレスは書いてるんですね。

逆に言うと
もう 人類の永遠の悩みだったり

テーマだったりする話なんだなと
思いましたね。

はい ず~っと変わらないんですね。
うん。

さあ学んでいきましょう。
指南役 ご紹介します。

倫理学 哲学をご専門とされている
東京大学大学院教授の山本芳久さんです。

今回も よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。

今回のテーマは 「友愛」なんですけれど

やっぱ 春から
新しい環境に入るという方が多いので

友達関係 悩むなという人も多いかなと
思うんですが 伊集院さん どうですか?

悩みますね。
もう悩みすぎて 諦めてる。

友達つくるのはね
昔から あんまり得意じゃないです。

アリストテレスの言う「友愛」というのは
どんなものなんですか?

ひと言で言うと 人と人とを結びつける愛
というふうに言うことができます。

前回 取り上げた「徳」は
節制とか勇気とか

個人の話という側面が
大きかったわけですが

友愛の話になるとですね
この 人と人同士を深く結びつける愛。

ギリシャ語で言うと フィリア
そういう話になっていきます。

「ニコマコス倫理学」の中に
このような一文があります。

これは
どういうことを言ってるんですか?

そうですね まあ 「政治学」という
アリストテレスの本の中では…

…という言い方があってですね

人間というのは 偶然とか 好みで
人と一緒に生きるのではなくて…

…という捉え方をしています。

あまりに複雑な人間関係が
もう ちょっと手に負えなくなって

一人がいいっていう人も
まあ 出てくるわけで。

そもそも 友愛とは
だから その辺の謎を解くにあたっても

僕は興味があります。

では早速 アリストテレスの「友愛」を
見ていきましょう。

皆さん こんにちは。
倫理の時間です。

アリストテレスは
「友愛」について 熱く語っています。

こんな感じ。

アリストテレスは こう説明します。

金持ちや権力者にとって
友人は必要だろう。

友人と共に
称賛されるべき善行に励むのだと。

貧しい人々にとっても 友人は必要だ。

友人は 彼らの唯一の避難場所となる。

若者たちは 互いに過ちを犯さないため。

老人たちには 世話や生活の
手助けをしてくれる存在が友人なのだと。

かなり熱く
友愛の重要性について 書いてますね。

しかも 具体的ですね。
うん。

お金持ちも 若者も 老人も
みんなに必要だと言っていますよね。

面白いなと思ったのが 国家にも
友愛が必要だと言っていましたよね。

こちらの文章を 改めて見てみましょう。

友愛があれば 正義が必要ではないと
言っていますが

これは本当なんでしょうか?
そうですね。

これも アリストテレスの名言の一つと
言ってもいいと思うんですが

例えば 夫婦を考えてみても
非常に この仲が うまくいっていれば

殊更 法とか正義とかを持ち出して
あれこれ言う必要はないわけですよね。

でも この うまくいかなくなって
離婚するとか そういうことになると

親権がどうしたとか
財産分与がどうだとか そういう話になる。

夫婦の例えが すごい分かりやすくて

例えば お隣さんと
すごく うまくいってれば

土地の境界線が法的にどうだとか
要らないですもんね。 そうですね。

要は お互いが楽しくやれてるから
いいじゃんっていう話ですもんね。

ではですね 私たちが愛するものは
何なのか見ていきましょう。

これ 第1回で出た 道徳的善 快楽的善

有用的善に対応してるんですね 先生。

そうですね。 アリストテレスは…

…というふうに考えているんです。

道徳的に善いもの
役に立つという意味で善いもの

また この快いもの そういう意味での善が
人と人とを結びつける。

それが愛の対象になると。

では続いて 友愛が どのように
成り立つのか見ていきましょう。

友愛の関係は 善いもの 快いもの
有用なものの間で成り立つと

アリストテレスは言います。

それじゃあ これは どうでしょう。
お酒。

お酒は快いもの。

でも 私は お酒を愛しているけれど
お酒は私を愛してはくれない。

アリストテレスは 人と無生物の間には
友愛は成り立たないと言います。

友愛は 人と人との間にこそ
存在するのです。

アリストテレスが考えた

友愛を成り立たせるための
3つの条件があります。

何か役に立ちたいと思う。

一方通行では駄目。

ここから 友愛が始まります。

こちらに まとめてみました。
これが友愛の成立条件だと言っています。

1つ目は好意で 相手に善を願うこと。

2つ目に相互性。

3つ目に気づかれていること。

相手に善を願うというのは

例えば 高校生が この 友達にですね
何か苦手科目を教えてあげて

そのことによって
友達が この試験をクリアしたり

また いい大学に
入ったりすることができるように

自分が この役立つ 有用性を与えたいなと
そういうしかたで…

または自分が そのために何かをすると。

それが この重要な条件だというふうに
考えてるわけです。

相手が快く思っててくれるといいな
っていうことで。

今度 2が
今度 それが相互性になってくると

今 言ったことのバランスが取れてくる?
そういうことですね。

確かに それは いい状態。
とてもいい状態ですね。

これ 山本さんが教えて下さった
アリストテレスの面白い言葉なのですが…

「他者の善を悲しむ」?

これは アリストテレスが
「弁論術」という本の中で

嫉妬という感情について
述べている部分なんです。
ああ~!

この嫉妬という感情を
これほど短い言葉で

見事に定義するって
なかなか難しいと思うんですね。

他の人が 価値のあるものを手に入れる。
価値のあるあり方を体現する。

それを共に喜ぶのではなくて 悲しむ。
これこそ嫉妬なんだと。

憎むわけでも 怒るわけでもなくて
悲しむの ちょっと分かります。 悲しむ。

あの… すごく仲の良かった同期が
先に売れた時って そんな感じかも。

もう 対等の関係でいられないとか

もしかしたら もしかしたら
彼の思う善の形と 僕の思う善の形が

少し ずれてくるはずだということが
分かっちゃったりとか。

その やり場のない悲しみが
ストレスになってって

ケンカしたりとか。 そうですね。
怒りに変わったりとかしてく。

何か すごいな。

悲しむというのは面白いですよね。
面白い。

友情は友情として 持続しつつ

でも ちょっと この点に関しては
悲しんじゃうみたいな

それを非常に うまく
表現してるのではないかなとも思います。

友愛に戻りますとですね

アリストテレスは
友愛には 3種類あると言っています。

この3つの友愛が
どんなものなのか 見ていきましょう。

アリストテレスが挙げた
3つの友愛の形。

例えば 高校時代の3人の友人を例に
見てみましょう。

友人A君。 彼 いい人でしたよ。

授業を休んだ時に
ノートを貸してくれた。

試験の時には 情報交換もした。

役に立つから つきあう
これは…

友人B君。 彼もいい人でしたよ。

よく 一緒に キャッチボールや
カラオケを楽しんだ。

あれも青春だったな。
一緒にいて 心地よい。

これは…

仲の良かったA君とB君。

でも 高校を卒業したら
すっかり つきあいがなくなってしまった。

もう一人の友人 C君。
彼は尊敬すべき人物。

いろんなことを話し
互いに考えを深めた。

今でも つきあいがあるし
彼の幸運を願っている。

これは…

アリストテレスは 完全な友愛とは

徳において 互いに似ている
善き人同士のものだと言います。

そして その友愛は 永続的に続くのです。

漫才師が仲いいとは かぎらないんですよ。

こいつしかいないっていうのは
よく分かってる。

だけれども え~と 舞台の上以外で

一切 顔合わせない
なんていう人もいますからね。

友愛ではあるけど 仲良くはない。
と思います。 はい。

ほんと それこそビジネスの仲間
ってことですよね。 そうですね。

3つの中で言うと
やっぱり アリストテレスが

一番いいと考えてるのは
人柄に基づいた友愛なんでしょうか?

そうですね。 相手の人柄全体を愛する。

この人柄というのは
そんなに簡単に変わるわけではない。

有用性の友愛のように その
何か状況によって 条件づけられない。

…だというふうに
アリストテレスは考えています。

あの 落語に出てくる登場人物の中に

町内で
みんなで遊びに行こうぜっていうと

与太郎っていう
一番使えないやつ 出てくるんですよ。

でいて こいつはね
有用性ないんですよ 恐らく。

有用性は全くないし

え~と
それから 何か いつもポカをする。

だけど 何か じゃあ与太郎
何で連れてくかというと

何か空気が和むんだよね みたいなことで
連れてくんですね。

人柄的には 割と
みんな よく思われてるんだ。

みんな 与太郎が困ってると
助けたい感じになるし。 おお~。

ちょっと 自分が浮かんだ
その3つ目の人は与太郎かな。

でも 徳がある人格かどうかというと
また違ってくるのか。

何か 聖人君子みたいな人じゃなくても
いいっていうことなんでしょうかね。

これですね 伊集院さんの今の話と
非常につながることを

アリストテレス自身が言っているので
ご紹介しますが

人柄の善さに基づいた友愛を
結んでいる人同士というのは

単なる聖人君子みたいなものでは
ないんです。

何か この有用性や快楽は
全く欠けてるのかといえば

そうじゃないんだと。 むしろ それを全部
含みこんでるんだという言い方を

ちょっと与太郎と違うところもありますが
アリストテレスは していて。

というのも この人柄の善さを
お互いに持ってるわけなので

一緒にいて 何か安心できる
まさに その空気も和むし

また この困った時には
人柄は善いわけですから

助けてくれるわけですよね。

なので この役に立つということを
目的にしてるわけではないけども

おのずと役に立ってもくれる
というようなしかたで

この人柄の善さに基づいた友愛の中には

3つのものが
全て含まれているんだというふうに

アリストテレスは述べています。

それで言うと 今現代の
その 人間関係の中で じゃあ

会社で誰を残して 誰をリストラしてく?
という話になった時に

有用な人は残されると思うんですよ。

残されるけど 何となく
あいつがいると 気持ちいいよなとか

場が和むよな みたいな その…

この人 意外に
僕 リストラされていくと思うんですよ。

そうか… 大事な人だったのに。
大事な人。

だから 多分 アリストテレスが
一番いい形の友愛って言ってた人は

今思うと そういう人なのかもしれない。

それ 面白いですよね。

そういう話かなというふうに
お聞きしました。

でも アリストテレスは その友愛が
一番いいと考えてはいたんですもんね。

人柄に基づく友愛を築くには
どうしたらいいのか

アリストテレスは
こんなふうに言っています。

一体 親密になるには
どれぐらいの時間が必要なのか。

「共に塩を食べる」とありましたね。

この塩の量は 1メディムノス
約52リットルになるといいます。

つまり…。

これの 52倍です!
お~!

とにかく 友愛を育てるのには
長い時間が必要ということ。

こんなことでは
多くの友人は持てそうにありません。

でも アリストテレスは
それでもいいと言います。

多くの友人を持つことを求めるよりも

共に生きるのに 十分なだけの友を
求めるのがよいとね。

アリストテレスの言ってる
友愛のあり方とは

全く正反対の世の中が
出来上がってる気がする。

プライベートが SNSの友達であふれて

でいて 仕事の方は
効率化のグループによって

人間関係ができてると
恐らく とてもじゃないけど 人柄…

その人の人柄を じっくり見極めて

長く 一緒にいるみたいな友達って
つくれない。

つくりにくい状況にあるのは
間違いないですね。

そうね つくりにくい状況かな。

アリストテレスは その 長い時間をかけて
つきあい続けることによって

どうなっていくと言ってるんですか?

自分の持っていない善い点を持っている
相手を 間近で見ることによって

こういうあり方が
善いあり方があり

それは こういうふうにやれば 身につけて
いくことができるんじゃないかと。

また その友人から
実際に アドバイスなどをもらいながら

お互いに相手の持っている善い点を
体現していく。

そういうことが可能になるわけです。

他方 この…

…というのも このアリストテレスの
友愛論の重要な点。

人柄の善さに基づいた友愛が
一番よいけども

それ以外にも 有用性とか快楽に基づいた
さまざまな 人と人とのつながりがある。

そこに アリストテレスの考え方の

よいところがあるのではないかなと
思います。

僕は 野球が好きなんで

この友達関係をね 人間関係を
野球のチームメートって考えた時に

有用性がある すごい打ってくれたりとか
すごい球 投げてくれる人いないと

このチーム自体は
上がっていけないんですよ。

かといって それだけ集めたチームって
実は もろくて

その ムードメーカーみたいなやつ
あいつのために頑張ろうぜって

言えるようなやつがいないと
弱いんですね。

人柄のいいやつがいるおかげで

有用性で つきあってたやつとも
じっくり つきあえるようになったりして。

もしかしたら
人柄で 友愛を築ける人がいてくれると

他で築いた人も そこに
近づいてくこともあるんだと思うし

その逆も
彼も一緒に 練習に参加してると

有用性が出てくる可能性も
あったりとかして。 うまくなったり。

それは とても僕 そっちの方がいい形。

すごい いい効果ですよね。
相乗効果ですよね。

で どうやら 強い高校野球のチームとか
こういう感じなんですよ。 ああ。

伊集院さんの おっしゃったように…

さあ 伊集院さん アリストテレスの
「友愛」について学んできましたが

いかがでしたか?

何か 僕は その人間関係が難しくて
いろいろ傷つく中で

もう 一人でいい
僕は孤独が向いてるんだという考え方に

僕もなったし
なる方 いっぱいいると思うんですけど

ここで ちょっと友愛とか
人間関係に関しての よい形を

一回 見直してみると 何か自分が
果たして ほんとに孤独でいいのかとか

何から始めればいいのか みたいなことが
ちょっと見えてくるかしら。

だって アリストテレスが

友愛なければ幸福ではないみたいなことも
言ってますからね。

友愛 築きたいですね。
そうね。

でも ほんとに つくづく思いますけど
一人じゃできないですもんね なかなかね。

山本さん ありがとうございました。
ありがとうございました。

ありがとうございました。

♬~

「SWITCHインタビュー」
今夜は この男。

Source: https://dnptxt.com/feed/

powered by Auto Youtube Summarize

おすすめの記事