出典:EPGの番組情報
浦沢直樹の漫勉neo(14)「新井英樹」[字]
「マンガ誕生」の瞬間を同時体験する異色のドキュメント。社会のタブーに切り込む問題作を描き続ける鬼才・新井英樹さんが登場!▽締め切り直前・緊迫の仕事場に密着
番組内容
ふだんは立ち入ることができない漫画家の仕事場にカメラが密着!▽「宮本から君へ」「ザ・ワールド・イズ・マイン」など衝撃作を描き続ける新井英樹さんが登場!▽ひきこもりの青年が同級生に再会する読み切り短編▽漫勉史上最も遅い?緻密なペンタッチ▽表情、アクション、書き文字全てで「心の痛み」を表現▽モブキャラすべてが「生きている」▽「主人公に厳しすぎる」過酷な物語を描き続ける鬼才の現在地とは?お見逃しなく!
出演者
【ゲスト】新井英樹,【司会】浦沢直樹,【語り】葵わかなジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
テキストマイニング結果
ワードクラウド
キーワード出現数ベスト20
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- 新井
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- シーン
- 同級生
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- アシスタント
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- 作品
- 表情
- 部屋
- バット
- 下描
- 丸ペン
- 気持
- 終了
- 新井英樹
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
(ペン先の音)
♬~(テーマ音楽)
♬~
♬~
そのペン先から どんなドラマでも
生み出すことができる「漫画」。
この番組では ふだん
立ち入ることができない
漫画家の仕事場に密着し
創作の秘密に迫っていきます。
仕掛け人は 浦沢直樹さん。
数多くのヒット作を
手がけてきた
人気漫画家です。
(ペン先の音)
今回密着するのは
読む人に「痛み」を感じさせる漫画を
描き続けている
新井英樹さんです。
容赦のない描写。
予想の上を行く過酷な展開。
社会のタブーに切り込む問題作を
次々に発表してきました。
メッセージ性の強い新井さんの作品には
熱狂的なファンが多く
作家や
アーティストにも影響を与えています。
読む人に害を及ぼしかねない漫画。
何だか過激そう…。
対談は 新井さんがよく行くという
池袋で行われました。
これが やっぱりね…
今回の対談場所は…。
何だか怪しげなものが あちこちに。
ここは一体…?
どうも。
どうも。
初めましてです。
ありがとうございます。
ですね。
カミングアウト。
はい。
それでは 新井英樹さんの
創作の秘密に迫っていきます!
ご自宅を訪ねて
まず目に飛び込んできたのは
大量の本とDVD。
ジャンルを問わず
気になったものを買っていたら
こんなに増えてしまったんだとか。
執筆は2人のアシスタントと一緒に
行っています。
デスクの周りは こんな感じ。
どこに何があるか 分かるのかな…。
新作の執筆に合わせて 3日間
撮影することになったのですが…。
何と 締め切りの直前でした。
4台のカメラで いつも以上に
お邪魔にならないように撮影開始!
取り組んでいるのは
読み切りの短編「パンゲアね」。
主人公は 29歳の引きこもりの男性。
ゲームばかりしていて
かわいい中国人が働く
コンビニに行くだけの毎日でした。
ある日 そのコンビニで
中学時代の同級生と偶然出会い
物語が動き始めます。
40ページ分のネームは既に描き終え
撮影は下描きから。
主人公は 数少ない居場所だった
オンラインゲームの中で
つまはじきにされます。
行き場のない憤りを 一人
部屋でぶつけるシーンを描いていきます。
新井さんのネームは 細かく
丁寧に描き込まれています。
そのネームを原稿の下に置き
トレース台で写し取るように。
いや すごい遅い。
気付くようになったのね。
そう 多分。
部屋でバットを振り回す主人公。
あれ?
どうしたんだろう?
は?
≪は? 何言ってんの? ははは!
今まで知らなかった。
知らなかった。
ふふふふ…。
これはね…。
あ 本当に?
うん。
そうそうそう。
浦沢さんが分かりやすく
イラストにしてくれました。
曲がっているのは
指の付け根の部分ではなく
手のひらのここ。
こうした気付きが
作品をリアルにしているんですね。
バットを振り回す体の動きが
より感じられるように。
およそ30分かけて
このコマの下描きが終了しました。
≪あらっ あららら。
新井さん 実は撮影の5日前
地面に落ちていたセミを拾おうとして
ギックリ腰に。
ちょっと心配です。
描き文字と吹き出しから描いていきます。
Gペンには輪ゴムを巻いて
使いやすい太さにしています。
続いては?
あれ?
シャーペンに持ち替えた?
下描きに また手を入れます。
いや~。
(2人の笑い声)
そうそうそう。
主人公が一人暴れるシーンですが
新井さんのタッチは どこまでも丁寧です。
振り乱した髪や 体のひねり。
表情も よりはっきり分かります。
改めてペン入れ。
主人公の顔。
慎重に 探るように。
はははは!
荒ぶり 一人バットを振り回す主人公。
新井さんの繊細なペン先から
少しずつ
その気持ちが浮かび上がってくるみたい。
髪の毛を塗っていきます。
白い部分を残し 動きが強調されるように。
さらに細かいニュアンスは 丸ペンで。
重ねられる細い線から
やるせない痛みのようなものが
伝わってきます。
暴れ回る衝撃も付け加えていきます。
(ペン先の音)
このコマの主人公のペン入れだけで
1時間半。
部屋の背景は アシスタントに任せます。
≪うん 了解了解。
≪うい。 ういさ。
翌日。
アシスタントから戻ってきた原稿に
さらにペンを入れていきます。
布団を巻きつけただけの
自家製サンドバッグ。
バットで殴る強さは
このシーンの主人公の気持ちそのもの。
新井さん自身がペンを入れます。
さらに翌日。
アシスタントがスクリーントーンを貼った
原稿に 最後の仕上げ。
主人公の
言葉にならないセリフを筆ペンで。
崩した文字にすることで
キャラクターの
気持ちを込めることができます。
本当に
こんなうなり声が聞こえてきそう!
そして ホワイトをあちこちに。
ホコリや汗でしょうか?
主人公のほとばしる気持ちが
一層強調されます。
3日がかりで ようやく
このページが完成しました。
ネットの中でも
居場所を失ってしまった主人公が
バットを振り回しながら
「許す」と必死に叫ぶ姿。
その激しさとは裏腹な
心の痛みが感じられる
シーンとなりました。
新井英樹さんは…
漫画に強く惹かれるようになったのは
お父さんの影響でした。
なるほど。
漫画家への憧れはあったものの
自分の絵に自信が持てず
大学卒業後 一旦
文房具メーカーに就職します。
しかし…。
結局 1年で退職し
独学で漫画を描き始めた新井さん。
24歳の時に持ち込んだ原稿が賞をとり
その後 デビューします。
1990年から連載を始めたのが
代表作の1つ「宮本から君へ」。
主人公は
会社員時代の新井さんを思わせる
文房具メーカーの熱血営業マン。
不器用な会社員の
青春物語と思いきや
次々と
過酷な出来事に見舞われます。
予想を超える展開が話題になり
最近になって 映画化もされました。
勝てなくても
バカにされるのは嫌だから…
そう 「負けるもんか」で。
それは本当そうですね。
そして 世紀末に取り組んだ作品が
「ザ・ワールド・イズ・マイン」。
良心の呵責なく
残忍な犯行を繰り返す
連続殺人犯を主人公にした
問題作です。
目を覆いたくなるような凄惨な
物語は 物議を醸す一方で
命の重さとは何かを
鋭く突きつけました。
問題作を生み出す中で
30キロも太ってしまった新井さん。
家に引きこもるようになりました。
しかし 50歳になる直前
このままではいけないと思い立ちます。
新井さんの女装姿がこちら。
昼間の銀座を歩いたこともあるそうです。
あ だと思う。
うん そうかもしれない。
いまだ描いたことがないものを
描くことへの 飽くなき貪欲さ…。
再び 執筆の現場へ。
再会した同級生は
コンビニで働きながら
バンド活動をしていました。
主人公は 彼女の行きつけの
ミュージックバーで
待ち合わせをすることに。
描くのは 同級生が到着した この場面。
既に下描きは終わり ペン入れから。
Gペンで バーの客を丁寧に。
このバーの
シーンは わずか3ページですが
新井さんは
少ししか登場しない人たちでも
大切に描いています。
例えば このバーのマスター。
ちょっとダンディーな
ヒゲの男性ですが…。
そう ふりだけで。
ははははっ。
そうそう 「人はいるなぁ」っていう。
それはすばらしい!
改めて見ると こんな人 確かにいそう。
このバーの登場人物一人一人に
細かい設定があるそうです。
小さい人物は丸ペンで。
そう。
そうそう そう。
何気なく読んでいるコマに
そんな思いが込められているんだ…。
1時間ほどかけて
このコマのペン入れが終了。
アシスタントに
どんな背景にしてほしいか伝えます。
≪はい。
≪はい。
完成原稿がこちら。
二連の丸窓に
ピンク・フロイドのレコード。
常連客がたむろする
確かな存在感のあるバーが
出来上がっていました。
続いて 今回の作品の中で一番大きなコマ。
同級生の女の子が 主人公の手をつかんで
胸を触らせてる!?
これって どういう状況?
原稿を回して 目からペン入れ。
そうそう そうそう。
ふふふ… ね。
確かに
胸を触らせているわりに 無頓着な表情。
何かワケありな事情を想像させます。
そっか…。
それ それ聞きたかったんだわ僕。
若い女の子が
気にも留めないそぶりで胸を触らせる…。
こうなるまでに
彼女は どんな経験をしたんだろう?
瞳の中は 丸ペンで。
無表情に見える ハイライトのない瞳。
続いて 口の中。
1時間ほどかけて
このコマのペン入れが終了しました。
主人公に 平然と胸を触らせる同級生。
過ごしてきた重い歳月を想像させる
微妙な表情です。
(3人)は~い。
執筆中の楽しみ 晩ごはん。
新井さんの妻で 漫画家仲間でもある
入江喜和さんが作ってくれます。
いただきます。
はい いただきま~す。
≪ありがたいっす。
めっちゃありがたいっす。
4年前から飼っている
文鳥のミョンちゃん。
みんなで かわいがっています。
話題作 問題作を
次々と発表してきた新井さんですが
最近 描く漫画が変わってきたといいます。
執筆作業も いよいよ佳境。
主人公は
同級生が作った曲を聴いてみます。
すると 彼女と過ごす幸せな日々
手が届かない未来が目の前に。
そして 現実に引き戻されます。
我に返った瞬間の表情のペン入れから。
このコマでは 筆ペンで主線を
入れていきます。
瞳の中も筆ペンで。
切ない表情。
新井さんは 部屋にこもり
傷つくことから逃げている主人公に
今の若者の姿を重ねているみたい。
そうそうそう。
そうそうそう。
それは本当
嫌だなっていうか…
偶然の出会いから
たとえ傷つくことになったとしても
受け止めて 生きていく…。
次のコマでは 主人公が
夜明け前の部屋に
一人でいる様子が描かれます。
気がつくと流れている涙は 丸ペンで。
(2人の笑い声)
昔はやってたね。
昔だったら ここまで…。
自分の中でも。
ははははっ。
そうそうそう 敗北宣言これ。
40分ほどかけて この2コマの
ペン入れが終了しました。
よし。
偶然の再会から 現実を思い知らされ
傷ついた主人公を
淡い光が そっと包んでいます。
切なさと かすかな希望を感じさせる
シーンとなりました。
♬~
(笑い声)
(笑い声)
最後に…
聞いてみました。
人の「痛み」と向き合い
続ける 新井英樹さん。
次は どんな作品を
生み出してくれるのでしょうか?
(口笛)
(口笛)
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