逆転人生「日本初のセクハラ裁判が教えてくれる15のコト」[解][字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

逆転人生「日本初のセクハラ裁判が教えてくれる15のコト」[解][字]

怒るSHELLY、驚くマヂカルラブリーと山里亮太。30年前、日本で初めて上司と会社をセクハラで訴えた女性の闘い。卑劣な性的中傷、社会を変えた裁判の舞台裏に迫る。

番組内容
まだ日本にセクハラという言葉すらなかった30年前。出版社で働いていた晴野まゆみさんは上司から男女関係の噂話を流されるなどさまざまな性的嫌がらせを受ける。会社も上司に味方し、逆に職を奪われることになった晴野さんは、上司と会社をセクハラで訴える前代未聞の裁判を起こした。一部メディアが晴野さんを猛烈に批判。逆風にさらされる中、裁判は意外な展開を見せる。当時の裁判長が判決の舞台裏を独白。歴史を変えた逆転劇
出演者
【司会】山里亮太,杉浦友紀,【ゲスト】晴野まゆみ,【出演】SHELLY,マヂカルラブリー,【解説】ジャーナリスト…白河桃子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
バラエティ – トークバラエティ

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  20. 時代

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

NHK
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山里さん 今日のテーマは
「セクハラ」です。
ねえ。

なんか いまだに定義として
はっきり分かってないから

ひょっとしたら 自分が
これしてしまってるのかなとか

もうね ぼんやりしてるとこ
多いんですよ。 そうですよね。

今日は だから
しっかり学んでいきましょう。

はい お願いします。

今日の主人公は
日本初のセクハラ裁判を闘った女性。

九州各地の道の駅などを紹介する
ウェブサイトを運営しています。

実は晴野さん 28歳の時に
勤めていた出版社で

ひどいセクシュアルハラスメントに
遭います。

泣き寝入りは できない。

前代未聞
セクハラで裁判を起こしたのです。

ところが それが 大論争へ発展。

晴野さんへの反発の声も
吹き荒れました。

[ スタジオ ] うわぁ。
(村上)めちゃくちゃだな。

まだ日本にセクハラという概念すら
なかった頃の お話なんですよね。

マヂカルラブリーの二人は これ どう?

野田さんなんか ほぼほぼ女性と
しゃべらないですもんね。 そうね。

ずっと NGワード
言っちゃいそうな気がして

しゃべれないっていう感じですよね。
あっ そうなの?

これ 言うやつの。

眼鏡かけてると怪しいけど
眼鏡外すと やっぱね すごい。
あっ これで。

ほら 渡辺 徹さんみたいになる。
(笑い)

(SHELLY)ほんとだ 急にかわいい。
(野田)これなら大丈夫。

そうね。
関係性とか。

まずは 主人公の晴野さんが

いったい どんなセクハラを受けたのか
ご覧下さい。

♬~

私は福岡市の出版社で
正社員として働く ライターでした。

もしもし Q企画です。

え… 取材の約束?

はい。

え!? 誰も来てない?

すみません。 すぐに向かいます。

もう またかよ。

地域のエンタメや
グルメ情報などを掲載する

大学生向けの雑誌を作っていました。
(SHELLY)ふ~ん。

私は 当時28歳 独身。

以前はブライダルコーディネーターとして
働いていましたが

ライターの仕事に憧れ

半年前 この出版社に転職したのです。
すご~い。

戻りましたぁ。

しかし この出版社には
私の人生を狂わせる

一人の男がいたのです…。

おっ 晴野さん おかえり。
これだな。

やつっぽいぞ。
編集長

今日の博多レコードの 新人歌手の取材
すっぽかしましたよね。

私が代わりに 取材しておきました。

あ… 忘れてた。 すまんね。

直属の上司 樋口編集長。

仕事ぶりは淡泊で 私とは正反対でした。

樋口は家庭優先で いつも早く帰宅。

その分 モーレツ型の私が
よく深夜まで残業していました。

当時は 今より男女格差がひどく
私の給料は 樋口の3分の1。

え~!?

それでも 憧れの仕事に
全力投球していたのです。

モチベーションが。
(SHELLY)ほんとですね。

でも それが当然という
時代だったんですね。

乾杯!

おごれよ 絶対。
(野田)ハハハッ。

忙しい日々の中で 楽しみは
取材先や仕事仲間との飲み会。

今と比べ 女性が飲み歩くことに
偏見の目はありましたが

私は仲間と お酒で盛り上がるのが
好きでした。

そんなある日…。

あ いたたたたたた…。

私は卵巣腫瘍を患い
手術が必要となりました。 うわ~。

編集長 今お時間よろしいですか。
うん。

実は腹痛で病院に行ったら 卵巣腫瘍と
診断されまして 入院が必要なんです。

そうか。 それは大変だな。

まあ仕事の方は こっちで何とかするから
ゆっくり入院したら。

大丈夫じゃないですか。
(野田)いいんだ。

(晴野)ありがとうございます。

「よかった これで安心して休める」。
そう思った 次の瞬間でした…。

☎(樋口)あ 実は
晴野が入院するんですよ。 …え?

あれですよ あれ。 女のあれです。

そうそうそうそう… アッチの病気。
うわぁ。

まあ…

☎(樋口)へへ。
やば。

怖っ!

いや センスゼロすぎるでしょう。
(SHELLY)うん 知識も。

無事手術が終わり 仕事に復帰すると
樋口は 新たな嫌がらせを始めました。

え?

晴野さん スポーツ記者の大野さんと
不倫してるって本当ですか?

へぇ?

本社の石田係長とデキてるって
本当ですか?

えっ!?

デザイナーの本間さんと
男女関係って聞きましたけど…。

なんで!

うわ~ 何のために。
う~!

周囲に ありもしない男女関係の
うわさを吹き込む樋口…。

一体 なぜなのか。
(村上)何のためになんですかね。

実は このころ
樋口の担当だった取材先が

次々と
私を指名するようになっていました。

えっ それが理由で!?

それもあって 樋口の更に上役である
佐藤専務が

私を高く評価してくれたのです。
はぁ~。

はぁ~。

晴野君は 本当によく頑張るな。

少し給料 増やすことも考えようかな。

えっ 本当ですか?
ありがとうございます。

樋口もなぁ
晴野君くらい 頑張ってほしいんだがな。

しょうがないやつだ。

そっか。 こういうのがあって
嫉妬から。

樋口は 部下の私を妬み
性的なうわさ話を広めることで

職場での評判を
下げようとしているのではないか。

悔しいんだ。
う~わ~。

そして 思い出すのも忌まわしい
出来事が起きたのです。

ちょっと昼飯でも食べに行こう。
話がある。

え?
え?

分かりました。

突然 私を連れ出した樋口。

その発言に 私は驚愕しました。

正直言って 君は いろいろと男女関係が
派手に言われてるよね。

会社には迷惑だ。
お前が言ったんだろ。

いろいろな男女関係とは
どういうことでしょう。

いいかげんにして下さい。

ありもしないことを言われるのは
迷惑です。 そうねぇ。

ほぉ。 それじゃあ言わせてもらおう。

晴野君は 不倫の経験があるよね。
知ってるんだよ。

何のことでしょう。

とぼけたって無駄だよ。
他人には 知られたくないだろ。

おっしゃっている意味が分かりません。

なんと樋口は 誰も知らないはずの
私の過去を持ち出し

バラされたくなかったら
会社を辞めろと

脅してきたのです。
卑劣な人だね。

確かに私は 取引先の安岡という男と
一時期 男女の関係でした。

安岡には 妻子がいましたが

いつか離婚して私と一緒になってくれると
思っていました。

結局 都合よく使われただけなんでしょ。

そんなこと ないって。
そんなこと ある。

もういい。 さようなら。

その思いは かなわず
1年で関係を解消。

私は 過ちを悔いていました。
よかったですよね 清算して。

でも一体なぜ 樋口が
それを知っているのか。

なんで知ってんの?
この時は 分かりませんでした。

どうなんだ。
不倫した事実は黙っておくから

会社を辞めてほしい。
(SHELLY)脅し。

不倫した女なんて 会社にいると
迷惑なんだ。

それとも みんなに知られたいか。
(テーブルをたたく音)

あなたは 自分が どんなに卑劣な人間か
分かりますか?

人には 知られたくない過去の
1つや2つはある。

なのに あなた あなたは
過去の古傷を突きつけて

知られたくなかったら
会社を辞めろという。

汚い! 人間として とても汚い!

人の過去に土足で入り込み
脅しをかける。

自分が どんなに醜い顔をしているか
鏡で見て下さい。

恥ずかしいと思いませんか。

ここまで言わなきゃいけないって
つらいわ。

樋口の嫌がらせを 何とかしてほしい。
私は 上役の佐藤専務に訴えました。

そうね ここが救いだよね。
専務しかいない。

もう職場で 仕事に関係ない
男女のことを 言われたくないですし

彼の中傷を やめさせてほしいんです。

そうか 樋口は そんなことを言ってたか。
話は よく分かった。

わしの方からも 樋口に話をしておこう。

その後 佐藤専務と樋口の話し合いが
行われました。

晴野。

はい。

あしたから もう会社に来なくていい。
えっ どういうことですか?

樋口にも 話は聞いた。

だがな…

え?

専務が それ?

待って下さい。 納得いきません。

なぜ彼じゃなく 私が辞めなければ
いけないのか分かりません。

そんなこと言われても 理解できません。
話は終わりだ。

ちょっと待って下さい!

こうして私は 生きがいだった
ライターの仕事を奪われたのです。

いや なんかもう
言いたいことが いっぱいありすぎて

どれから順番に話そうかなって
感じなんですけど。

あの樋口に対して あそこまで
ショッキングな言葉を言われて

その瞬間に あなたは こういう人間で
あなたのやってることは間違っている。

私は絶対に負けないっていう強さを
持ってたっていうことが

めちゃくちゃ かっこいいなと思って。

あれを言えない人が
たくさんいたんでしょうね。 うん。

その上司の樋口さんって
どんな人だったんですか?

どちらかっていうと
まあ柔和っていうか 温厚な。

やっぱり家庭は
すごく大切にしていたし

当時としては珍しく

子育てにも 奥さんに対して
協力的では ありましたよね。

僕ら 意見一致してるのは
とんでもないクズ野郎だなと。

(村上)そう見えましたけど。
クズにしか見えなかったけども

逆に今の話聞いて リアルだなっていう。
あ そっか。

そういうことも ありうるよなとは
思いましたね。 なるほどね。

確かに その人自体は普通だと。

普通で 別に 誰彼かまわず
傷つけてやろうっていう

ほんとの純粋悪じゃなくて

ただの社員ですよっていうような人が
そうやって傷つけることも バンバン吐く。

今日は ハラスメントに詳しい
白河桃子さんに お越し頂いています。

よろしくお願いします。

で セクハラしやすい人って
どういう人なのか

その特徴を まとめて頂きました。
こちらです。

はい。 1つが共感力の欠如。
つまり 人の気持ちが分からない。

それから2つ目が 伝統的な性別の役割
男女の役割分担を信じている。

まあ 男尊女卑な人ですね。

それから3つ目がですね

優越感を感じたり 権威主義で
あったりするのが好きという

マウンティングしやすい人。

更にもう1つ 白河先生が
ポイントとして挙げているのが こちらです。

周囲がセクハラを助長。

(白河)この条件がそろってる人は
どこでもやるわけでは ないんですね。

この人を許す環境があるから
やるわけです。

逆に 周りが許さなくなれば
やらないわけです。

その周囲が
セクハラを助長っていうのって

実は それに対して
「それは駄目ですよ」って言うのって

すごいハードル 高いじゃないですか。

だから それの小さな一歩として
笑わないって 結構大事だなと思って。

その飲み会とかで 例えば上司が
お前 胸でかいなみたいな

何カップだみたいな
しょうもない話 した時に

ん? ん?
っていう空気になったら

今そうか こういうのは駄目だな
みたいなことになって…

次は それを言えなくなるみたいな。
スベると

次もう1回 そのボケしようと
思わないじゃないですか。 そうね。

だから その上司とか偉い人をスベらせる。

たまに女性芸人の
トラップ あるじゃないですか。

これ ツッコんでいいのか? みたいな。
どういう?

不細工側って ツッコまれたくて
今 やってんのかなとか。

でも言えないしな 時代的にとか。

もう言えないなっていう時代に
なったなっていうのは ありましたね。

ウケなくなってきてる。
(村上)はい 多分そう。

笑わなくなってきてますね。
それが だから

周囲の環境が ちょっとずつ

自分たちのリアクションで
変えてきてるってことになるんですかね。

あともう1個 樋口も

実は その男だからっていうことに
苦しめられてた可能性 ありますよね。

その家庭を大事にされてるし

本当は多分 仕事をそんなに
超頑張りたい人じゃないけど

当時の男に求められるものって
そこのハングリー精神だったら マッチョな

男たるもの
こういうものだっていうものを

自分を越えてくる女が出てくると
まずいっていうことで

その人を排除することで
自分のマッチョを上げるというか。 は~。

男は もう こうでなければいけない

男は もう社会 会社を
しょって立っていくものだと。

でも樋口は 彼は
それが ちょっと頼りないと。

そっか。 男らしくっていう言葉も
それは それで苦しめてたと。

(晴野)そうです。
と思います。

どっちも苦しいと思います。

これ 晴野さんは
会社をクビになって どうしたんですか。

晴野さんは 裁判所に
相談することにしました。

しかし当時は 「セクハラ」という言葉も
ありませんでしたし

法律もなかったんですね。

男女雇用機会均等法で
セクハラの規定ができたのは

晴野さんの事件の後のことなんです。
へぇ~。 (野田)すごいな。

いや もう
何も自分を救ってくれるものはない。

こういう状況 解決してくれるものがない。
頼れる法律もない。

どうやって闘ったんですか。

ほんとに諦めかけた時に

ほんとに ここの法律事務所が
聞いてくれなかったら

もう諦めようと思ったところで

当時の私にとっては
思いもよらないような

提案をしてくれたんですよ。
(村上)へぇ 何だろう?

こんにちは。 辻本です。
どうぞ よろしく。

何とか裁判を起こしたい。
頼ったのは 辻本育子弁護士。

立場の弱い 女性のための法律事務所を

立ち上げたばかりでした。
へぇ。

できるわよ 裁判。
本当ですか?

女であることを理由に

私を職場から追い出した
「会社」の対応に

辻本弁護士は 注目しました。

当時 こうした女性差別を禁じる
民法の規定は ありませんでした。

そこで辻本弁護士が
奥の手として持ち出したのが

日本国憲法 第14条。

すべての国民は 性別により
差別されないとあります。

会社の男女差別や
樋口の性的嫌がらせは

この日本国憲法に
反しているのではないか!

それで勝てるというふうに
思ってたわけではないけれども…

うん。

こうして後に 「日本初のセクハラ裁判」と
呼ばれる闘いが始まったのです。

前代未聞の裁判を メディアも大きく報じ
福岡地裁には 傍聴人が列を作りました。

そして法廷で 私は樋口と対決したのです。
そっか。

樋口に 私への性的な言動を
ただしました。

しかし…。

そういう表現をすることは
自分自身で考えられないし

言ったこと ないですね。

全く覚えのない 事実ですね。

はい。 そんな言葉自体
僕が使わない言葉です。

まあ 証拠ないからな。

録音テープなどの
証拠がないのを いいことに

樋口は 完全否定したのです。

逆に彼らは
思わぬ反撃を仕掛けてきました。 ん?

何時まで 飲んでいましたか?

どれくらいの酒の量ですか?

週に何回 飲みに行っていたのですか?

私にしつこく
「お酒」のことを聞いてきたのです。
ええ~っ!?

あなたは 女性がお酒を飲むことに
罪悪感とか思っていませんでしたか?

思っていません。

世間的に 恥ずかしいことだとは
思っていませんか?

思っていません。
思っていませんか。

はい 思っていません。
強い ほんとに。

女性がお酒を飲むことに
今よりも強い偏見があった時代。 うん。

私を だらしなく
信用できない人間だと

印象づけてきたのです。 う~ん。

裁判長も年配の男性。
そうか…。

一体 どう捉えているのか…。

今も そうですけどね。
変わらず ほぼ男性です。

更に悪いことに 一部のメディアが
私に容赦ない批判を浴びせ始めたのです。

いやぁ そうでしょうねぇ。

これ 週刊誌の 実際の記事ですか?
(村上)とんでもないですね。

とんでもないですね。

男性優位な
日本社会で

女性が声を上げることの難しさを
痛感しました。

こうやって押さえつけるんですよね。

しかし この逆境の中で

私のために立ち上がってくれた
女性たちがいました。

出版社の学生アルバイトだった妙子さん。

勇気を出して
証言台に立ってくれたのです。

更に 同じアルバイトの麻美さんも…。

(麻美)樋口さんが自分のコーヒーカップを
晴野さんの机の上に置きかけた時です。

おっ。
(麻美)慌てて コーヒーカップを上げて…。

…といけない。 こんな汚れた女の机の上に
コーヒーカップなんか置けない。

(野田)やば。
スベってる…。

晴野はな
今 卵巣腫瘍で入院してるんだ。

何で そんな病気になるかというと

あいつ 男遊びが激しくて
あそこが汚れたからだ。 うわ~。

(樋口)汚い女なんだ。

証拠がないと たかをくくっていた
相手にとって

これらの証言は 大きな打撃となりました。

そして 私を支えてくれる声は
法廷の外にも広がっていきました。
へぇ~。

地元の新聞社が 私の記事を掲載すると

たくさんの女性たちが 自分も
被害にあったと 投書してくれたのです。

そうね 声上げていいんだって
なったんだね。

そうですね。
1人が言ってくれると。

「9年間 性的な中傷を社内で受けてきた」。

こうした声が広がり
私の裁判を支援する会も結成。

セクハラという言葉が
日本に入ってきたのも このころでした。

へぇ。

しかし 希望が見え始めたやさき
私は奈落の底に突き落とされたのです。

やだな。 もういいよ。

誰?
松永秀夫。 相手側が呼んだ 新たな証人。

樋口の親しい友人で
私もよく知る間柄でした。

その松永の証言が
法廷の空気を 一変させたのです。

え?
態度 悪い。

不倫とかですね。

安岡さんとの不倫のことも
聞かされていました。

絶対に安岡さんを
彼の奥さんに渡さないって

私に話してましたよ。
(どよめき)

なんと法廷で 私の不倫のことを
持ち出してきたのです。

汚いね。

そもそも なぜ松永が
それを知っているのか。

そこには 事情がありました。

よぉ。
危ねえから送ってってやるよ。

ありがとうございます。
うん 大丈夫?

ええ 大丈夫。 本当に大丈夫。
大丈夫じゃないじゃん。

いやいや… ここで大丈夫です。

「介抱する」と言って 松永は
部屋に上がり込もうとしてきました。

いや 大丈夫じゃないでしょ。
大丈夫?

いや本当に もう大丈夫。
いや心配してんだって こっちは。

いやいや… ここで大丈夫だから。
いや ここで大丈夫じゃないでしょ。

大丈夫。 いや もういいじゃん。
子どもじゃないんだから。

いやぁ!
うわぁ。

身を守るため
とっさに言ってしまったのです。

(晴野)やめて! 私 安岡さんと
つきあってるんです。

ふ~ん 安岡と。

(晴野)誰にも言わないでもらえますか。

分かったよ。
それ 特に樋口に知られるとヤバいぞ。

やむをえず明かした秘密。

それが あの卑怯な脅しに利用されるとは
思いませんでした。

安岡さんと 不倫の関係だったんだろう?
この2人 やばいな。

知ってるんだよ。
知ってるんだよ。

樋口に話したのは 松永に違いない…。
うん。

原告は 男女関係の話が特に多かったです。

セックスの体位とかですね
恥ずかしくなるような話を。

松永は話を誇張し 法廷で私を
ふしだらな女だと言い立ててきました。

うん。

誰か助けてぇぇぇ!

これは つらいよ。

ひどい男ね。 許せない。
私 うそつきって言ってやる!

え?

松永さん!

あなたって うそつきね。

(晴野)松永 あなたは私に何をした。
はぁ?

この恥知らずの…。
(頬をたたく音)

怒りを 抑えることができませんでした。

やっぱ そりゃそうだよな。
そりゃそうですよね でも。

たった今 松永を殴りました。

え!?

(泣き声)

(辻本)松永と 相手側の弁護士に謝罪して。

私が 相手の証人に暴力を振るったことで
弁護団も 支援する会も

裁判の負けを覚悟しました。

いやぁ でもこれで
なんで ビンタしちゃったんですかとは

言えないかな やっぱ。
うん。

やっぱり 一番最初にあったのは
とにかく怒りですよね。

それで このまんま彼を許してたら
自分が やっぱり違うっていうか

なくなっちゃうっていうか。
うん。

ほんとに衆人環視の中で その…

セカンドレイプ
セカンドインジュアリーですよね。

今思い返しても 多分これは
一生消えない傷ですよね。

(SHELLY)トラウマですよね。
それは あります。

裁判 やめたいみたいに
思わなかったですか。

やめたいとは 思わなかったですね。

確かに殴ってしまったことは
まずいことでは あったけれども

だからこそ
そこで私が降りてしまったら

更に彼らの
思うつぼでもあるじゃないですか。
うん。

だから とにかく私は最後までやると。

いや もうなんか その…
何て言うんですかね。

何層にも すごい これ
問題があるなと思っていて

すごい汚い男 松永は
性的にこの人は すごく奔放で

モラルがない人間なんだ みたいなことを
言うことによって

あの裁判で
イメージを悪くしようと思っている。

じゃあそこで今度 本当かウソかって
いうことに とらわれてしまうけど

本当だったとしても
関係ないよねっていう。

これは 会社でのセクハラの話であって

彼女の こういう理由で
クビになってしまうってことが

いいか悪いかを 問いただす裁判なのに

全く関係ない プライベートな
その価値観だったりとか

そういうことを
持ち出してるっていうことに対して

疑問を 誰も抱かないっていう。

やっぱり多くのセクハラや性被害の女性が
訴えられない 声を上げられないのは

やはりこういった ひどい二次被害ですね
セカンドレイプ。

それから やっぱりね
あまりに攻撃されると

自分が悪いんじゃないかと
なぜか錯覚してしまうんです。

ここで もうほんとに
1つはっきり申し上げたいのは

とにかく こういったセクハラ ハラスメント 性被害
やる方が絶対悪い。

やられる方には
何の落ち度もないんですね。

そうね。 で あの週刊誌 野田君 あれ…。
いや すごかったですよね。

ズボンを穿けみたいなこと
書いてありましたね。

週刊誌の あの会社に
女性は いないんですかね。

なんで あれが通るんですかね。
ねえ もう ほんとだよね。

やっぱり立場のあるところに
女性がいないと 意味がないんですよね。

だって あの裁判も 確かにずっと
男性がやってますもんね。

そうね 裁判官の人たち そうね。
今 最高裁の裁判官も

女性の数 とても少ないですよね。

これがやっぱり ジェンダーギャップ
120位という 日本の現実なんですね。

いや 俺だったら 多分この国で生きるの
諦めてるかもしれないっすね。

ぐらいの話よね。 この時代で
この闘いをしようと思ったら。

俺 ちょっともう無理だな
この国で生きるのはと

思っちゃいそうっすね ちょっと。
詰んでるように思っちゃうから。

どうやって こっから逆転するのか
すごい楽しみです。 そういうことだわ。

いいパス出すじゃない 村上君 ね。
(笑い)

かっこいいですね なんか。

闘いに来てる感じ。
そうね。

あの暴力事件から半年。

判決の日が来ました。

私は松永を殴ったことで 略式起訴され
週刊誌でも報じられました。

果たして どう影響するのか。

おお!

おめでとう! 勝った!
良かったね。

おおかたの予想を覆し
私たちは勝訴しました。

そうね。

判決文には 日本で初めて
セクシュアルハラスメントの概念が明記され

重要な判例となりました。
へぇ この裁判があったからなんだ。

更に…。

会社にも セクシュアルハラスメントに
対応する責任がある。

後の法改正につながる
画期的な判決でした。

そうか 環境ですよね。

30年前 この裁判を担当した
川本 隆裁判長。 え?

あの判決に至った背景について
語ってくれました。

うわ~ すごい。 話聞けるんだ。

84歳の川本さん。
実は当時 川本さんの中にも

ステレオタイプの女性観が
あったといいます。

あなたは 女性がお酒を飲むことに
罪悪感とか思っていませんでしたか?

思っていません。

世間的に 恥ずかしいことだとは
思っていませんか?

思っていません。

川本さんが 考えを変える
きっかけになったのは

相手側が お酒について
繰り返し追及してきた時の

私や弁護団の 反論だったといいます。
なるほど。

へ~。
う~ん なるほど…

この法廷での やり取りのあと

川本さんは 海外のセクハラに関する
資料を読み込み

あの判決に至ったといいます。

閉廷。

(歓声)

(拍手)

いやあ。 (村上)う~ん。

だいぶ時間は たちましたけども
ほんと お疲れさまでございました。

(SHELLY)いやあ ほんとに。

あの~ ほんとに 今ちょっと
感無量なんですけれども。

やっぱり私が その相手側の証人を
殴ったっていうことも含めて

川本さんに おわびして
手紙も書きたいって思ってたんですね。

で その背景も書きたいと
思ったんですけど

でも その背景 書いたら

今度は私が
言い訳してることになっちゃう。

そんな言い訳は したくないと思ったので
結局そのまんま 33年が過ぎて

今回 このビデオ 見ることができて
ほんとに ありがとうございます。

ほんとに ありがとうございます。

いや もうなんか
まずやっぱり 働く女性として

日本で働いている女性を代表してって
いうと ちょっとおこがましいですけど

まず ほんとに ありがとうございます。
(晴野)いえいえ。

みんなのために闘ってくれて
こういう結果を出してくれたからこそ

30年後 変わったねって
今じゃ考えられないよねって言って

このVTRを見れてるっていう
ものすごい感謝の気持ち。

ちょっと変だな みたいな
何か変だなって思ったって

裁判長 言ってたんですけど
あれが すごいリアルで なんか。

こう急にズバンッて思わないもんなんだなって
思いましたね。

だからこう ほんとに ちょっと疑って
見ていかないとなっていう。

今がすべて正しいんじゃないっていうのは
思ってなきゃいけないなって

ほんと 思いましたね。

やっぱその 絶対僕らも偏見が
こびりついてるわけじゃないですか。

それで指摘されて ハッてなるのが

やっぱ 今まで
恥ずかしいことだと思ってたんですけど

裁判長ですら まだハッてなるんだから。
そうね。

恥ずかしいことだとは思わずに
もっとハッてなろうって思いましたね。

それで いいんだなって思いました。
そうね。 うん。

あと ほんとに…

(笑い)

さすが。
すごい。 (笑い)

でも この判決っていうのは

後のセクハラ対策に
影響は あったんですか。

はい。 晴野さんの判決の影響
この2つが考えられます。

(白河)97年の
男女雇用機会均等法の改正には

大きな影響を与えています。
会社は そのハラスメント

セクハラを防止する義務がある
というふうになって

それが 配慮義務というのから
措置義務になって

もっと強い義務になっていくんですね。

しかしですね じゃあこれで30年たって
どうかというと

令和3年の調査があるんですけど。
はい。

やはり 多くの人が
ハラスメントを言えない。

経験してるという人は多いのですが
やはり4割の人が 誰にも言えない

相談できない というようなことも
あるんですね。 そうですよね。

ほんと 裁判から30年たっても

まだセクハラ 確かに
なくなってませんからね。

まずやっぱり 第一ほんとに
法律 頑張って下さいっていうのは

もうこれ テレビだから言いますけど
法律 頑張って下さい。

全然 日本の法律は 女性を守る法律が
圧倒的に足りてないと思います。

それは セクハラに限らず
性犯罪とか そういうことに関して

すべてにおいて そうなんですけども。
で それは それとして

私たち一人一人にできることっていうのは
自分はセクハラしてないから大丈夫

セクハラするやつって最低だなって
思ってるから 大丈夫じゃなくて

やっぱり それを見逃してるっていうのも
罪だよっていう

感覚を持ってなきゃいけないなというか

なんかその 味方だよみたいなのを
してあげるだけでも

その人は すごい救われると思いますし。

確かに言えない空気っていう

その周囲の環境っていうの
大事だって言ってたから

言えない空気っていうのを変えていくのは
確かにね。

笑わないってだけでも
いいかもしれないし

その言い方とか 「師匠 今 時代的に」
とかっていうのでも いいし

そういうことが できる人が
1人でも増えていけば。

そうですね。 30年前と比べたら

やっぱり随分 変わってきたって
思ってるんですね。

で 時代っていうのは必ず

少しずつ少しずつ
変わっていくって思ってるんです。

だから そうやって バトンをね

声を上げるってことは
バトンを持って走りだして

それがつらくって やめたとしても
それは バトンを落としてないんですよ。

誰かがね 拾ってくれるし

拾って
また誰かが走りだしてくれるし

次のバトン 次のバトンって渡していく。

そしたら時代って
変わっていくじゃないですか。

だから私は これからも問題は
いっぱい出てくるだろうけれども

女性たちが めげずにね
バトンを

次のあなたに 次のあなたにって
渡していってくれたら

私は 裁判をやった価値が
あったと思ってます。

いや 第一走者として
本当にすばらしいバトンを。 ねぇ。

いやあ 晴野さん
ほんとに今日は 貴重なお話

どうも ありがとうございました。
ありがとうございました。

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