出典:EPGの番組情報
チョイス@病気になったとき▽まとめSP 我慢しないで!~胃の不快感&胸やけ~[解][字]
過去の放送をコンパクトにまとめて紹介する「まとめスペシャル」。今回は、胃痛・胃もたれと胸やけについて。新しい治療薬や具体的な生活改善法についても詳しく解説する。
番組内容
過去の放送をコンパクトにまとめて紹介する「まとめスペシャル」。今回は、胃の不快感と胸やけについて。「さよならしたい 胃の不快感」からは、胃の痛みやもたれなどの症状はあるのに、検査をしても胃の粘膜に異常が見つからない「機能性ディスペプシア」の治療と対策、「我慢しないで!胸やけ」からは、胸やけの原因となる胃酸の分泌を抑える新しい治療薬や、具体的な生活改善法についても解説。
出演者
【キャスター】八嶋智人,大和田美帆,【講師】順天堂大学医学部消化器内科教授…永原章仁,国立国際医療研究センター消化器内科診療科長,【リポーター】上條倫子,松田利仁亜,【語り】江越彬紀ほかジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 高齢者
テキストマイニング結果
ワードクラウド
キーワード出現数ベスト20
- 胃酸
- 症状
- 逆流
- 食道
- 機能性ディスペプシア
- 粘膜
- 炎症
- 山田
- PPI
- ストレス
- チョイス
- 原因
- 場合
- 病気
- 大体
- お薬
- 患者
- 治療
- CAB
- アコチアミド
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
<今回は まとめスペシャル>
<こんな つら~い経験ありませんか?>
…っていうのが やっぱり
一番ですよね。
<でも お任せください!
あなたの悩みを 一挙に解決しま~す!>
チョイス!
<原因に合った
正しい薬のチョイスを知れば…>
<さらに 食事の注意点から
すぐにできる生活の工夫まで
たっぷりと ご紹介しま~す!>
<まずは…>
チョイス!
<電気工事士の…>
<50年来 胃もたれに悩まされてきました>
<しかし 電気工事の仕事は体力勝負。
食べないと 体が もちません>
<「食べたくないのに
食べなくてはいけない」。
毎日の食事が苦痛でした>
<一日一食にしてみたことも
ありましたが
それでも ご飯とおかずを
ほんの僅か食べるのがやっとでした>
<この やっかいな胃もたれを
なんとか治したいと
何度も近くの内科に通い
薬をもらいますが…>
だから 何なんだろうなと思って…。
<そして 今から6年前
長年の胃もたれを
消化器内科の専門医に相談。
内視鏡で調べてみましたが
異常は何も見つかりませんでした>
<しかし この検査で
「機能性ディスペプシア」と
診断されたのです。
それって どういうこと?>
ですので こういった…
<大井さんのように 内視鏡検査では
異常がないにもかかわらず
胃の症状があるケースを
「機能性ディスペプシア」というのです>
<見た目には異常がないのに…>
<胃は 通常
食べ物が入ってくると膨らみます。
そして ぜん動運動によって
食べ物を
胃液と よく混ぜて消化し
十二指腸に送り出します>
<しかし 大井さんの場合
胃の運動機能が低下していました。
そのため 胃が十分に広がらず
少し食べただけで
満腹になっていたのです。
さらに ぜん動運動も弱いために
食べ物が胃に長くとどまり
ひどい胃もたれを
引き起こしていました>
<ようやく 胃もたれの正体が分かった
大井さんの治療のチョイスは…>
<それは 胃の運動機能を活発にする薬…>
<一日3回 食前にのむことで
大井さんの50年来の胃もたれが
見事 解消!>
<その結果 食欲も
ずいぶん 回復しました>
<昼食のうどんも このとおり!>
ごちそうさまでした。
<ぺろりと
完食できるようになったのです>
う~ん…! なるほど。
食事がつらいっていうのは もう…
僕なんかは 想像できないんですけど
やっぱり 逆に言うと よっぽど
大変なんだろうなっていうような
そういう気がしますね。
そうですね。
ここからは 専門家に加わっていただき
一緒に見ていきます。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
VTRの中でね 大井さんが
機能性ディスペプシアっていう
僕は 聞き慣れない言葉なんですけど
これは どういった意味ということに
なりますでしょうか。
ちょっと 舌をかみそうな
名前ですけれども…。 そうですね。
「機能性」っていうのは
「働き」とか「役割」っていう意味ですよね。
「ディスペプシア」っていうのは
ギリシャ語で
「消化不良」っていう意味です。
ですので
胃の中に 目で見える病気がないのに
機能…
働きが悪くて この辺の症状を訴えると。
胃の辺りの症状を訴えると
そういう病気です。 なるほど。
それは 新しい病気なんですか?
これは 昔から
もちろん あった病気ですけども
でも 日本で 我々が
病名として使うようになったのは
僅か数年前からですね。
だから 聞き慣れないんですね。
今まで
「神経性胃炎」とか「慢性胃炎」とか
ひとくくりにして
片づけられてたんですけども
症状そのものを病名にしようということで
新しく出来た病名です。
だから もう
これだから これっていうんじゃなくて
その「機能性」という言葉に すごく
概念的な感じがあるっていうこと…?
まさに そのとおりです。
僕ら… 特に 消化器内科って
目で見て分かる病気ばっかり
扱ってたじゃないですか。
がんとか潰瘍とか。
これは 胃の症状を病名にしよう
ということで画期的なんですよ。
じゃあ
その機能性ディスペプシアっていうのは
どのぐらいの方がいらっしゃる…?
実は 日本人の10人に1人
いるんじゃないかっていわれてます。
ああ そうですか。 1割!
1割。
もう 本当
ありふれた病気ですよね。
あっ そうですね。
その原因っていうのは どうなんですか?
はっきり分かってたりするんですか?
これが なかなか…
目で見える病気じゃないんで
難しいんですけども
ストレスに対する過剰反応だろう
っていうふうに考えられています。
なるほど。
自律神経が乱れることによって
さっきのVTRにもありましたように
おなかが…
ごはんを食べても
胃が
膨らまないですとか
食べたものが
ちゃんと 腸に
送り出されない
といったことで 症状が
出てしまいます。
VTRの大井さん
そういうふうに診断されて
「アコチアミド」という薬を
のんでらっしゃいましたけど
それは
どういったものになりますでしょう?
アコチアミドは
胃の動きを良くする
お薬なんですね。
大井さんの場合は
どうも
胃の動きが悪い
あるいは 胃が 十分
膨らまなくて
症状が出てるので
このアコチアミドといった
胃の動きを
良くするお薬で
症状を取ります。
で もう一つ
「六君子湯」って
漢方薬があるんですけども。
「六君子湯」?
はい。
これも 胃の動きを
良くするお薬ということで
ガイドラインで
推奨されています。
どのぐらいで効いてくるっていうのは
あるんですか?
大体 アコチアミドは4週間かけて
徐々に 徐々に 効いてきます。
1週目 2週目ぐらいで
効いてきたぞっていう感じになって
4週間で
ああ 何か すっきりしたなってなります。
大体 ひとつきぐらい かかって…。
ひとつきぐらい。
六君子湯は だんだん それがね
8週間ぐらいかけて 効いてくるんですね。
ちょっと 辛抱強く のんでいただければ
症状が取れて 楽になります。 なるほど。
その効果が出てきたなって思ったら
薬は やめてもいいものなんですか?
症状 取れたら
のむ必要ないんですけども
やめると 過半数の人で再発しちゃいます。
なるほど。
もちろん 再発したら
残念がらないでも
こういう病気なんだよというふうに
ご自身もきちんと覚えておいていただいて
治療を再開すると。
そのお薬は アコチアミドは
副作用はないんですか?
副作用は 非常に少ないお薬です。
安心ですね。
ただ
胃腸の動きを良くする作用があるので
人によっては おなかがゴロゴロしたり
あるいは
下痢したりとかっていうような症状を
訴える方がいます。
市販薬では
そういった薬はないんですか?
残念ながら アコチアミドは これは
我々が処方するお薬ですけども
六君子湯は 市販で 販売されてますね。
そうですか。 お値段っていうのは
大体 どれぐらいになりますか?
アコチアミドで 保険で治療すると
3割負担だと 1か月で
大体 薬剤費で1, 000円ぐらい。
六君子湯ですと 大体
1, 200~1, 300円
といったとこだと思います。
この2つのお薬が 効かなかった場合
っていうのもありますか?
効かない場合は…
ストレスが原因になるケースが多いので
「抗うつ薬」とか「抗不安薬」とか
そういったお薬を追加
あるいは 変更することがあります。
まずは そのストレスをなくすというか…。
そうです。 機能性ディスペプシアの
患者さんの4割ぐらいは
不安とか うつ症状とか
抱えてる方がいるので…。
ですので やっぱ
ストレスから逃れるっていうのが
治療の 一つ 根本だと思います。
そうか…。
さあ 先ほどは 胃もたれに苦しんだ方の
ケースを見てきました。
でも 機能性ディスペプシア
症状は それだけではありません。
<5~6年前から
胃に痛みを
いつも
感じるようになりました>
やっぱり そんな…
何か 日々の生活の中で ちょっと…
機嫌が悪いとは言わないんですけど
ちょっと 楽しさが
減ってしまうかなと思いますね。
<そこで 2年前
内視鏡検査を受けましたが
異常はなく
「機能性ディスペプシア」と
診断されたのです>
<症状が…>
本来だったら…
<小嶋さんは
胃が過敏になっていたために
本来 痛くないはずの胃酸の刺激を
「痛い」と感じてしまっていたのです>
<そんな つら~い胃の痛みから
解放されたい小嶋さんは
あるチョイスをしました>
チョイス!
<胃酸の分泌を抑える薬…>
<「PPI」は
痛みのもととなる胃酸の分泌を
減らすことによって
胃への刺激を和らげます>
<胃の運動機能を活発にする
アコチアミドも同時にのみました>
<すると 2週間を過ぎたころから
徐々に改善。
ひとつきもたつと 胃の痛みは
すっきり なくなりました>
胃もたれだけではなく
胃痛もあるっていうことですか?
はい。 機能性ディスペプシアの
症状の一つとして
胃もたれとか あと
みぞおちの やけるような感じ。
これも 機能性ディスペプシアで
知覚過敏ということになりますね。
機能性ディスペプシアは
「胃の運動機能低下」と「胃の知覚過敏」
この2つのタイプに分かれます。
異常がないにもかかわらず
これら4つの症状のうち 1つでも
慢性的に続いていれば
機能性ディスペプシアと診断されます。
なるほど。
「慢性的」っていうのは
例えば どれぐらいの期間ですか?
これが 厳密な定義ですと
「最近半年以内に 3か月以上
これらの症状が続くこと」とありますけど。
ああ~ なるほど。
なるほど。
しかし 日本で 半年も症状を我慢して
病院に来られる方 いないので
ご本人が もう ずっと痛いなと思えば
慢性的と思っていいです。
でも やっぱりね VTRの小嶋さんも
やっぱり ずっと気になるっていう点は
やっぱり かなり 生活レベルを
下げるっていうかね ご自身で…。
そういうのは 何か しんどいのかな
っていう気はしますけどもね。
確かに 機能性ディスペプシアって
命に関わる病気ではないんですね。
調べてみますと
平均寿命は全然短くなってないと。
しかし この症状によって
仕事が十分にできないとか あるいは
日常生活を
送れなくなっちゃう患者さんがいるので
生活の質 QOLが
うんと下がってしまいます。
なるほど。
ですので やっぱ しっかり治療するのが
一番大事だと思います。
そうですね。
これ そもそも どうして
知覚が過敏になってしまうんですか?
実は 胃じゃなくて十二指腸ですね。
十二指腸に
目で見えない僅かな炎症があると。
そうすると
細胞と細胞の間が
ちょっと緩むんですよ。
そうすると
いろんな刺激物質が
腸の中から こう
粘膜に
しみこんできて
そこで 痛み神経を
刺激して
痛みを起こすと。
ええ~…!
痛み神経が 常に
刺激されてると
今度は
脳が過敏になっちゃうと。
なるほど。
一方 ストレスは 脳にかかりますよね。
そうすると 視床下部から
今度 ストレスホルモンが出てきて
今度 腸に炎症を起こしちゃう
ということもいわれてます。
じゃあ あれですか。
何となく 昔から その…
胃酸過多みたいなね 胃酸が出過ぎて
ちょっと 胃が痛くなっちゃうなんて
よく耳にしてましたけども
それとは また ちょっと
違う感じっていうことなんですか?
「胃酸過多」って
すごく分かりやすい言葉なんですけども
実は 胃袋って いつも
目いっぱい胃酸を出してるので。
ハハハハ…! あっ そうですか。
胃酸が過多になることって ないんですよ。
なるほど!
じゃあ もう
結構 じゃんじゃん出してるのを
ちゃんと感じるかどうかっていうこと…。
そうです。 そうです。
はあ~…!
<機能性ディスペプシアは
過敏性腸症候群
胃食道逆流症
便秘などを併発しやすいことも
分かってきました。
でも…>
人間の腸って 食道 胃 小腸 大腸って
一つの管になってますよね。
つながってるってことですもんね。
つながってます。
機能性ディスペプシアは
胃の辺りの病気ですけども
胃だけ悪いんじゃなくて
そういう患者さんって
やっぱり 腸のほうにも
影響してるわけでして。
そうすると 過敏性腸症候群と…
合併するということになります。
これ 大体 何割ぐらいとかって
あるんですか?
大体 6割ぐらいの患者さんは
過敏性腸症候群 合併してますし
2割ぐらいの患者さんは…
胃食道逆流症…
食道が敏感な患者さんがいます。
じゃあ やっぱり
かなり連動しているっていうふうに
考えたほうがいいっていう部分が
あるっていうことですね。
その知覚過敏の場合
PPIという薬を
使ってらっしゃいましたけど
これは どういう…?
「PPI」っていうのは
「プロトンポンプ阻害薬」っていいますけども。
胃酸を出す細胞 これ 胃酸が どんどん
ポンプで
くみ出されていくわけですけども
そのポンプのスイッチを
切っちゃうようなお薬です。
そうすると 知覚過敏があっても
症状を訴えなくなるということです。
ただ やはり
それでも症状が取りきれない場合は
先ほどのように
抗うつ薬とか抗不安薬とかを
加えたりするケースがあります。
なるほど。
これは 運動機能低下と知覚過敏
どちらも持っている方っていうのの薬は
やはり アコチアミドと胃酸を抑える薬の
どっちも使うことになるんですか?
両方持ってる患者さんに
アコチアミドだけ処方すると
両方取れるケースもありますし
両方持ってる患者さんに
PPIだけ処方すると
両方の症状が取れるケースもあります。
じゃあ 本当に
その人に合ったチョイスをして やって…。
出会いが良ければ…
スムーズにいくけれども
っていうことですか。
でも… じゃあ
その治療っていうことになりますけど
お薬以外で
機能性ディスペプシアっていうのを
治していこうっていうことは
できないんですか?
もちろん
お薬以外の生活習慣の改善というのが
もう 「基本」の「き」です。
その生活改善のポイントを
永原さんに挙げていただきました。
上から…
これは あれですね 上3つが まあ…
食べるものっていうか 食事に関わること
っていうことになりますね。
まず 「腹八分目」。
ゆっくり食べるっていうことですよね。
胃袋が膨らむ前に
ごはんを早食いしちゃうと
これは膨らみませんから。
あと もう一つは 「あぶらっこいもの」。
これは 胃腸の動きを
少し 悪くしてしまうので
控えるといいと思います。
なるほど。
で 「お酒・コーヒー」。
これは 賛否両論あるところですけども
やっぱり 刺激物は これは
症状を強く出してしまうので
控えるといいと思います。
こういうのを我慢しなきゃって思うことが
ストレスで
また 機能性ディスペプシアっていう…。
これは でも せめぎ合いですね。
難しいですね。
そういう患者さん いらっしゃるんですよ。
「あれが悪い」「これが悪い」って言うと
本当に ごはん
食べられなくなっちゃって
なおさら痩せちゃう患者さんが
いらっしゃるので…。 なるほど。
やはり こう おいしいものを…
おいしいものを少量ずつ食べると。
で 自分の人生 幸せに生きるっていうのが
一番いいなと。
ストレスにならないような捉え方とか
ストレスにならないような
先生からの聞き方とか
何か そういうのも関係してくるのかなと。
必要ですね。
さあ では 最後に
今日お伝えした内容を踏まえまして
ベストチョイスのためのアドバイスを
お願いいたします。
胃カメラで異常がないのに
胃痛・胃もたれを訴える患者さん。
これは
「気のせい」ではなくて「機能性」です。
ああ~ 上手! 上手! 先生!
ありがとうございます。
ぜひ 治療しましょう。
分かりました!
<ここからは…>
チョイス!
<若いころから 病気らしい病気を
したことがありませんでした。
ところが 60歳になったころ
山田さんの体に異変が…>
<そのときは 一時的なことだと思い
放っておいた山田さん。
しかし 数か月後から
胸やけが 頻繁に起こるようになり
胸が キリキリ 痛みだしたのです。
そこで 山田さんは…>
<牛乳や白湯を飲むと
胸やけが治まったのです>
もう 本当 素人療法で。
何か 胃液を薄めればいいんじゃない?
みたいな話でですね…。
<しかし その方法では
胸やけは 次第に 治まらなくなり
山田さんは 市販の胃薬をのんで
なんとか しのいでいました>
<2年間は 自己流の対処をしていた
山田さんでしたが
ある日の明け方のことでした>
胃が 痛みっていうか…
それが 数回 続いて…
<そこで 山田さんはチョイスをしました>
チョイス!
<専門医に診てもらうことにしたのです。
早速 内視鏡検査が行われました。
すると 山田さんの胸やけの原因が
すぐに分かりました。
こちらが 山田さんの食道の内視鏡画像。
丸で囲んだ部分が 赤くただれています。
胃酸によって
炎症を起こしていたのです。
山田さんは「逆流性食道炎」でした。
「逆流性食道炎」って どういう病気なの?>
<口から食べたものは
食道を通って 胃に送り込まれ
胃酸で溶かされます。
この胃酸は
通常 食道に逆流することは
ほとんどありません。
食事のとき以外は
食道と胃の境目が
括約筋という筋肉によって
締められているからです。
しかし
何らかの理由で この境目が
きちんと
締まらなくなることがあります。
すると
胃酸が 胃から食道に逆流し
食道の壁を壊して炎症を起こします。
これが
胸やけの正体「逆流性食道炎」です>
<山田さんが
逆流性食道炎になった原因は
何だったのでしょうか?>
胃から食道のほうに
逆流する原因として
いくつか
あるんですけれども…
もしくは…
<山田さんには
思い当たることがありました>
<そして もう一つ 山田さんの好物が
逆流性食道炎の原因になっていたのです>
スープですとか… せんべいなどで
とうがらしの付いたようなもの
ありますよね ああいうものですとか。
<さらに…>
ちょっと 体重が
すごく増えてしまったもんですから。
体重が かなり増えたということも
ありますけれども。
そうすると…
<「繰り返す胸やけを
すっきり治したい!」
山田さんは 改めて チョイスをしました>
<それは
医師の指導をしっかり守ること。
逆流性食道炎の治療は
「薬」と「生活習慣の改善」の2つが
大切な柱になります。
薬は 胃酸の分泌を抑える
「P-CAB」が使われました。
山田さんは
毎日 忘れず のみ続けました。
そして
毎日のウォーキングと
食事の量を7割ほどに減らすことで
2年間で 10kgの減量に成功したのです。
さて 治療の成果は?>
すごく良くなりましたね。
では ここからは
詳しい方に お話を聞いていきましょう。
よろしくお願いいたします。
(一同)よろしくお願いいたします。
まずは やっぱり その胸やけの原因から
まず 教えていただきたいんですが。
食道から こう…
食べ物が
伝わっていくわけですけれども
食道から胃の中に
入りますと
そのときにですね
ここの括約筋というのがあります。
これは 食べ物が
通ってしまいますと
ちゃんと
締まってくれるんですけれども
これがですね
何かしらの理由で
パカッと
開いてしまうと胃の中のものが
逆流しちゃう
ということですね。
じゃあ どうして
胃酸が逆流するのかってことですが。
こういったものです。
ある! 全部 好きなんですけど…。
全部 好きなんです。
もう 私も そうですよ。 当てはまる…。
早食いですしね。
やっぱり 脂っぽいものは駄目ですか?
そうですね。 脂っこいものはですね
これ 消化を助けるために
胆汁を分泌させるホルモン
っていうのがございます。
これ 「コレシストキニン」という
ホルモンなんですけれども。
このホルモンがですね 本来は
消化を助ける目的なんですけれども
実は 先ほどの ここの括約筋を
パカッと開いてしまう 弱めてしまう
という作用がございます。
それによって
胃酸が逆流しちゃうっていうことですね。
「甘いもの(チョコレートなど)」って
書いてますが。
チョコレートとかですね こういった
甘いものの食べ過ぎっていうの…
これも逆流を助長する。
先ほどの括約筋を
緩めるというふうにいわれてます。
何となく アルコールは 緩みそうだな
っていう感じも 少し ありますけども。
平滑筋っていう筋肉なんですけれども
それが だら~んとなってしまうと。
私 アルコールを飲まない日は
炭酸飲料で! っつって
炭酸飲料 たくさん 飲んでるんですが
それも駄目ですか? ゲップが原因で…?
少量だったらいいんですけど
やはり がぶ飲みいたしますと
そのあと 「げぶっ…」とゲップが出ますね。
これは 胃の中のものを逆流させていると。
なるほど。
食べ方もですね 重要になってまいります。
食べ過ぎ もしくは 早食いですね。
こういったものも 食べるときにですね
一緒に空気を のみ込んでしまうために
胃の中に空気がたまって ゲップが
出やすくなるということもございます。
一方 「甘いもの」もありましたけど
「辛いもの」っていうのもありますし
「カフェイン」っていうのもありますが。
これもですね 胃酸の分泌を
促すっていうことがいわれています。
胃酸分泌が高くなると
逆流する大本が多くなるので…。
ああ そうか そうか そうか!
いろんなことが合わさって
逆流しやすくなっちゃうってことですね。
そういうことですね はい。
<胸やけの原因は
「食事」だけではありません。
例えば 「肥満」。
内臓脂肪がたまると
腹圧が高くなり
胃を圧迫して
胃酸が逆流しやすくなります。
「猫背」も腹圧を高くするので
逆流が起こりやすくなります。
ベルトやガードル
コルセット 着物の帯などで
おなかを強く締めつけても
腹圧が高くなってしまいます>
<でも 「便秘」で なぜ
胸やけが起こるの?>
便秘っていうのはですね これ
先頭車両が詰まってるような状況です。
後続車両が動かない。
行けないんですね。
そうですね。
胃の中に より いろいろなものが
たまりやすくなってる。
先に行かないので
上に上がるしかないという
そういった原理ですね。
なるほど。
正直 僕 まあまあ… 食べて
すぐ横になるタイプなんですけども
これは いかがですか?
食べたあとっていうのは
胃酸が うわ~っと出ます。
それで 胃の中が すごく いっぱいに…
胃酸になってるときに
重力がありますとね それが
下のほうに行きやすいんですけれども
やっぱり 横になりますと
逆流しやすくなる。
重力の影響が
なくなってしまうことによって
逆流しやすくなるっていうことですね。
単純に 本当に 姿勢の問題ですもんね。
いっぱいに入ってる… 飲み物が
いっぱい入ってる瓶を横にしたら
それは こぼれていっちゃうよ
っていうことですよね。 はあ~…!
どれぐらい時間がたったら
横になっていいんですか?
胃の中のですね 食べ物が
十二指腸のほうに送り出されるのは
大体 1~2時間っていうふうに
いわれてます。
できればですね 1~2時間は
横にならずにですね ソファーに
ちょっと こう リクライニングで。
縦になってればいいんですもんね。
そうですね。
ちょっと寄りかかるぐらいは
ゆっくりは していいってことですよね。
じゃあ 胃酸が
逆流してるかどうかっていうのは
どういうふうに調べるというか
検査になりますか?
これはですね
まず 一つは 内視鏡の検査
「胃カメラ」っていうふうに
言ってますけれども それを行うと
食道の粘膜にですね 炎症があるかどうか
っていうのを調べることができます。
ここで 赤くなってたり それから
白くなってたり そういったのを
「びらん」
っていうふうに言うんですけれども
そういったものが
ありますと
「逆流性食道炎」という
診断になります。
こういう 何か 段階みたいなのって
あるんですか…?
ああ 今 出てきました。
具体的に説明をいたしましょうか。
炎症の大きさ
広がりによって
4段階に分けられます。
下にいくほど重症ということです。
この図なんですけれども
上が 緑のほうが食道で
黄色のほうが胃だと思ってください。
食道を縦に開いた図が
この状態であるというふうに
思ってください。
最も軽症の「グレードA」は
長さが5mm未満の炎症があると。
「粘膜障害」というのは 粘膜に障害が…
炎症があるっていうことですね。
「グレードB」は 長さ5mm以上の炎症が
少なくとも 1つある。
「グレードC」になると 炎症部分が
連続して こうやって広がって
全周 75%未満の状態である。
最も重症「グレードD」になると 炎症が
全周の
この75%以上にわたっている状態になる。
「A」「B」が軽症
「C」「D」が重症だということです。
大体 8割5分から9割ぐらいの方が
軽症…。
「軽症」… ああ よかった。
ほとんどの方は軽症なんですけれども
横のほうに広がってくる
重症型の方っていうのは
大体 1割から1割5分ぐらい
というふうにいわれています。
じゃあ 胸やけを
起こしている方っていうのは
こういった症状が
必ず 見つかってくるということですか?
そういうことでもないんですね。
これが難しいところなんです。
これ 逆流があって
そこの所が傷になってると
内視鏡で見えるようになります。
ちょっと逆流してるぐらいだと
傷は残さないんですね。
それで 内視鏡で見ても
分からないっていう方が
いらっしゃるってことです。
なるほど。
じゃあ 炎症なくて 胸やけだっていう方が
いっぱい いらっしゃるんですか?
びらんがない
「非びらん性逆流症」という病名の方が
半数ぐらい いらっしゃるというふうに
いわれてます。
でも 何か 不思議に思うのは
食道の粘膜に炎症がないのに
何で 胸やけが
起こるんだろうっていうことですが。
食道の知覚過敏っていうのが
起こっているというふうに
いわれています。
その過敏っていうのは
なぜ 起こるんですか?
自律神経の乱れっていうのが
この食道の粘膜の過敏性を
起こしてしまう
というふうにいわれています。
ちょっと あれなんですね
敏感に なり過ぎちゃってる
ってところがあるっていう。
原因は あるんですか? それの。
一番はですね これ 「ストレス」ですね。
ああ なるほど。
どちらかというと「若いやせ型の方」に
多いというふうにいわれています。
ええ~…。
やせ型の方に多いのは なぜなんですか?
ちょっとしたことですね。 やはり
緊張を感じてしまったり 心配性だったり。
やっぱりですね
そういったストレスが… 感じやすい方。
そういった方が
非びらん性のほうが多いってことですね。
治療っていうのは 薬と 生活習慣の改善。
これ もう
2つの柱っていうのがありましたけど
薬は どのようにして使っていくのか
ということが気になるんですが。
<まず最初に使うのが
「PPI」や「P-CAB」という
胃酸の分泌を抑える薬です>
「PPI」と「P-CAB」。
この違いというのは
どういうふうになります?
<PPIは 胃酸の分泌を抑える薬として
二十数年前から使われてきました。
のんだあと 3日から5日で
効果が表れます。 しかし
夜間に 効き目が少し弱くなったり
効き方に 個人差があることが
弱点でした。
そこで 6年前に登場したのが
効果が強いP-CABです。
効果が3時間で表れ
一日中 持続します。
しかも 効果に個人差がありません。
そのため 重症の場合には
P-CABが第1選択になっています>
そこまで効くって聞いてしまうと
じゃあ PPIじゃなくても
P-CABに みんな しようよ
って思うんですけど そうではないと。
重症例はですね
やはり 酸が 多く逆流してますので
しっかり抑えたほうがいい
ということなんですけれども
先ほどの非びらん性の場合は
それほどでもないので
PPIでも十分ですし
また そのP-CABはですね
保険適用外ということもございますので
PPIが 第1選択ということになります。
薬の費用は
おいくらぐらい かかるもんですか?
PPIは 3割負担の一般の方ですね
…で 大体 月1, 000円ぐらい。
それから
P-CABもですね 月2, 000円ぐらいで
求められますので。
なるほど。
この PPIやP-CABっていうのは
薬局では 買えるんですか?
町の薬局では
売ってないということになります。
処方で 病院で
出してもらうっていうことになりますね。
では ほかの薬は どういうふうに
使っていくのかということですが。
まだ 残った酸分泌っていうのを
この「制酸薬」というもので
中和してあげるということになります。
これは 逆流したときに
先ほど お白湯だとか
牛乳飲んでっていうことも
ありましたけれども
それと同じような作用ですね。
じゃあ この「粘膜保護薬」っていう…。
粘膜がですね 非常に荒れてる場合には
やっぱり これは
逆流を抑制するだけじゃなくて
そこの粘膜を
良くしてあげようということで
粘膜を保護するお薬を…
釉薬みたいなもんですね
そういったものを
塗ってあげるという目的で使います。
さあ 続いて 「消化管運動機能改善薬」。
胃の中の胃酸が 大体 1~2時間で
小腸のほうに排出されるというふうに
いわれてますけれども。
胃もたれが
ひどかったりっていう方はですね
これ 胃の運動が
低下してる場合があります。
そうすると 胃の中に停滞して
上のほうに逆流するので
早く 小腸のほうに
送り出してあげようということで
こういったお薬を
使うっていうことですね。 なるほど。
でも さっき ストレスが ちょっとね
原因みたいなことになってくると…。
非びらん性の逆流症は。
それを緩和するっていうことで
解決する部分もあったりするんですか?
そうですね。 やはり
ストレスマネージメントっていうのが
いろんな世界で
今 重要になってきてますけれども
こういったストレスが原因の
非びらん性の場合はですね
それが非常に重要になってまいります。
それでも 良くならない場合ですね
「抗不安薬」とか「抗うつ薬」。
こういったものを
ちょっとね 使ってあげると
楽になる方もいらっしゃいます。
また 睡眠がですね 全然とれない方。
これもですね 頭が休まらないので
いろいろなストレスを
感じやすくなってしまうので
軽い「睡眠導入剤」みたいのを
使ってあげると
ぐっすり眠れてですね 症状も
軽くなるっていうことがございます。
<薬による治療を続けても
効果が表れない重症の場合は
「手術」というチョイスもあります>
<胃と食道の間を締める括約筋が
緩んでいる所に
胃の上の部分を巻きつけて 縫い
逆流しないように
締まりを作る方法です。
これは
どういった手術になりますでしょう?
おなかの所にですね
何か所か
穴を開けて 腹腔鏡を
中に入れて
遠隔操作でですね
手術をすると。
穴も小さいですもんね。
そうですね。
ばっさりとですね 切ると
やはり 回復が…
術後の回復が悪いということなので
この腹腔鏡でできればですね
これは 非常にいいことですね。
<さらに 逆流性食道炎が長く続くと
食道の粘膜に変化が起こり
がんのリスクが高くなることがあります>
<「バレット食道」とは
胃酸の逆流を何度も繰り返すことで
食道の粘膜の一部が
胃の粘膜に
変化してしまった状態のこと。
変化した
粘膜の長さが3cm以上になると
がんのリスクが
高くなると考えられています>
この白くなっている所がですね
もともとの食道の部分…
手前側のほうに
ピンク色の粘膜がですね
広がってると思うんですけれども。
そこが 本来は食道だった所が
胃の粘膜に
置き換わってしまうということで
そこが
バレット食道という所ですね。
これ 何で そうやって
変化してしまうのかってことですが。
逆流があるとですね 胃酸の…
抵抗しようということで
胃の中はですね 胃酸に強い粘膜。
それで 置き換わろうということで
こういった食道の上皮が
胃の上皮に
置き換わってしまうということですね。
ただ これはですね やはり
炎症が 繰り返して起こってきますので
何回も
炎症が繰り返していくうちにですね…
がんが出てきてしまうっていうリスクに
なるということがいわれています。
この長さっていうのが 非常に重要で
これは やはり 3cm以上になりますと
がんのリスクが
増えてくるということになります。
このバレット食道に
変化した部分っていうのは 例えば
PPIとかP-CABとかをのんだら
元に戻るっていうことはあるんですか?
これは 残念ながらですね
元に戻らないんですね。 なるほど。
しかし 進行はですね
止めるっていうこともありますので
こういったバレット食道の方はですね
お薬 一生懸命 しっかり
のんでいただいたほうがいいと思います。
分かりました。
では 最後に
今日 お伝えした内容を踏まえまして
ベストチョイスのためのアドバイスを
お願いいたします。
「逆流性食道炎」っていうふうに
一般的に言いますけれども
これ 軽い方から重症の方まで
いろいろあるっていうことが
今日 お分かりいただけたかと思います。
軽症の方っていうのはですね
ほとんどが
生活習慣を注意するだけで良くなるし
食事の食べ方とか食事の内容とかですね
そういったものも
非常に重要になってきます。
また この胸やけが
頻繁になった… 週に2~3回
出てくるなあというようなことに
なりましたらですね
これは 何かの…
逆流してくるといった症状が
強くなってくる
ということでございますので
病院の消化器内科を受診して
一度はですね
内視鏡を受けていただくのが
よろしいかと思います。
たかがね 胸やけだっていって
ほっとかないほうがいいっていう…。
よ~く分かりました。
先生 どうもありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
次回も 皆さんにお届けします。
健康への ベスト…。
(2人)チョイス!
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